[1-6-5]知床 Ver.6.00  1999.6.1

このエリアの目次は以下の通りです。

 はじめに
1.宇登呂側の概要
2.羅臼側の概要
3.宇登呂側の見どころ
4.羅臼側の見どころ
5.その他
6.食事処など
7.宿
8.雑談

はじめに

  北海道の東北の端に位置する知床は、地の果てとも最後の秘境とも呼ばれて
います。観光地化されているのは半島西側の宇登呂(ウトロ)などごく限られた
範囲で、ほとんど手つかずの自然が大部分を占めています。有名な観光スポッ
トでも少し外れればそこは熊の縄張りです。ほんとですよ。昨年(1998年)も
有名な観光地周辺で熊の出没が目撃されています。
  自然がいっぱいということは人の力ではどうにも出来ないことも起こり得ま
す。無謀な行動や初心者の単独行動は悲惨な結果を招くかもしれません。自分
の行動には十分な計画と細心の注意を払って下さい。しかし恐いところがある、
それが知床の魅力でしょうね。

  以下では、知床を「宇登呂側(オホーツク側)」、「羅臼(らうす)側(太平洋
側)」、「それ以外(知床峠、羅臼岳、知床岬など)」の3つに分けて説明してい
きます。また生情報には提供年月を( )で付けました。 また、このガイドでは
初めて行く方のために危険度の表示をつけました。もちろん表示がない部分で
も危険とは隣り合わせなのですが、筆者が特に危険だなぁと体感したものにつ
いて表示をつけました。計画時の参考にして下さい。

!危険!  無視すると人が死亡または重傷を負う危険が差し迫って生じる事が想定
    されるもの
!警告!  無視すると人が死亡または重傷を負う事が想定されるもの
!注意!  無視すると人が傷害を負う可能性が高く想定されるもの

                        オホーツク海

                                  ………(a)………
                          [宇登呂]……………………(b)……………………
---------------------------(2)+(3)-(4)---------(6)-------------+++
斜里|   (10)      (1)                 |      岩尾別 (5)            ~~+
     |                                |                      知床岬~+
     |                                |                              +
      |                            知床峠   羅臼岳  硫黄山           /
   根北峠                             |                            /
       |                              |                       __===
       |                           (8)|                     /
        |                             |           _(9)_-----
          __-------------------------++++(7)------
        /                        [羅臼]
 標津 /
    /                                        太平洋


1.宇登呂側の概要
宇登呂は知床の観光拠点です。斜里(しゃり)からのバスの便も良く、旅館・ホ
テルや土産物屋も多く、いろんな景勝地へ行くのにも便利、遊覧船も出ている
(宇登呂港から)、という事で、知床へ来た人の大半はまず宇登呂へ来ます。
  冬になると港の中にまで流氷が入って来て、白い海面を見る事ができます。
他の場所では、流氷ははるか沖から一気に接岸したり一気に沖に離れたりして、
冬に来ても流氷を見られないという事もありますが、宇登呂では比較的よく見
られます(でも豪快さには欠けるかも)。
  宇登呂側の主なポイントとしては、斜里と宇登呂の中間くらいにある「オシ
ンコシンの滝(1)」、宇登呂港の前にある「オロンコ岩(2)」、ちょっと先に行
くと「乙女の涙」「男の涙」(4)、「カムイワッカ湯の滝(5)」「知床五湖(6)」
などがあります。なお、羅臼岳や硫黄山の登山には、岩尾別(いわおべつ)温泉
やカムイワッカからの登山道が便利です。
 宇登呂へは、JR斜里駅からのバスが便利です。宇登呂側の道の終点である知
床大橋や知床五湖まで行けますし、知床峠を越えて羅臼行きもあります。しか
し、知床は基本的に車などの足があると便利です。
  なお、ここを走る「斜里バス」の豪快な運転は一部で有名です。ちんたら走
っている乗用車は煽られるとか。以下のような会話が交わされた事もあるそう
ですよ。
    乗客  「JRとの乗り換えが1分しかないんですけど間に合います?」
    運転手「間に合わせます(きっぱり)」
JRの時刻とバスの到着時刻は結構ぎりぎりで接続してたりしますが、斜里バス
の運転手を信じて乗っていれば、まず確実に間に合う時間に着くでしょう。

  知床半島の多くは知床国立公園に指定されています。公園内利用に当っては
環境庁、斜里町とも年々利用規制を厳しくしていく感じです。1998年の情報で
すが、例えば次の様な自粛を呼びかけています
 ・男の涙(門脇の沢)立入り禁止
 ・ シマフクロウ保護の為のオショロコマ釣自粛
  (でも観光協会のパンフレットには30cm級が釣れるとか堂々と謳ってい
  たけど…。)
 ・知床岬への船からの上陸禁止
 ・冬期間、徒歩、スキー問わずゲートを越えて知床五湖方面へ立入自粛
 (納得行かない項目もあるけど)環境保護のため、危険防止のため、私たちは汚
さない、破壊しない、無茶しない、自然を守ろう、を厳守実行しましょう。

  宇登呂は斜里町に属します。問い合わせは斜里町観光課(01522-3-3131)まで。

2.羅臼側の概要
羅臼は漁業の町です。宇登呂に比べて観光資源には乏しいのですが、昔から漁
業が盛んなので、裕福な町だそうです。(一方、宇登呂は漁業がそれほど盛んで
はないため観光に頼らないと苦しい、という面があるらしい)最高級といわれる
羅臼昆布で有名(これを利用した昆布醤油も造られている)であるほか、羅臼
の前浜で捕れる魚は「羅臼ホッケ」「羅臼タラ」「羅臼カレイ」のように、
「羅臼モノ」と呼ばれ、市場で特別の値がつきます。
  羅臼からは、本当に目の前に国後(くなしり)が見えます。空気が澄んでいる
と、目のいい人には人が歩いているのも見えるとか、、(?)
 流氷はあまり来ませんが、今年(1999年)は流氷の当たり年で、羅臼に接岸
したのは1月18日でした。
(TVでSMAPの稲垣吾郎と香取慎吾が流氷の上に乗っていたらしいのです
が、これはゼッタイにやめましょう。冬の海に落ちると早ければ2分で心臓が
止まっちゃいます。)
 流氷は海をきれいにしてくれるといわれており、長く接岸した年はいい昆布
が採れるそうです。
 羅臼から行けるポイントとしては、町の少し先にある、天然記念物の「ひか
りごけ(7)」、知床横断道路のゲート脇にある「熊の湯(8)」とその近くの「間
欠泉」、半島のずーっと先の方にある「セセキ温泉」「相泊(あいどまり)温泉」
(9)などがあります。また、羅臼の「海馬屋たかさご」では、道内でも珍しいト
ドの焼き肉やルイベ([2-3-1] 北海道の食べ物/飲み物参照)が食べられます。
  羅臼へも、自前の車があったほうが便利なのですが、バスで来るには、標津
(しべつ)から羅臼・宇登呂方面行きに乗るか、斜里から宇登呂を経由して知床
峠を越えて来るか、どちらかです。JRで回っているのなら、斜里から乗った方
が便利です。(標津線が廃止されたため、標津まで来るのにもバスが必要)ただ、
開陽台や野付半島を経由して来るのであれば、標津からが便利でしょう。
  羅臼は、羅臼町になります。問い合わせは羅臼町観光課(01538-7-2111)まで。
旅の情報は、羅臼バスターミナル内の羅臼ビジターセンター(01538-7-2828)へ。
  なお、場所は斜里市街で[1-6-4]に入りますが、斜里の駅の裏に知床博物館が
あります。
 斜里は知床の玄関の一つなので、ちょっと寄ってみてから知床観光をするの
も良いと思います。ここでは自然観察コースなどもやっており、夜の鹿を見に
行ったりというツアーもあるそうです。以下は1998年8月の情報です。

  1階:知床の歴史・民俗
  2階:自然・動物(映像展示もあります。)
     野外観察園、毎年7月に行う「知床ねぷた」の保管展示もあります。

    [斜里町立知床博物館]
         開館:9:00〜17:00
     (月曜・祝祭日・年末年始休館。月曜祝日のときは火曜も休館)
         交通:斜里駅下車、徒歩20分
         入場料:一般・大学生300円、小中学生50円
         連絡:tel.01522-3-1256 fax.01522-4-1257


3.宇登呂側の見どころ

[チャシコツ崎]
カメの姿をした岬で、通称「ガメラ岩」と呼ばれています。斜里から宇登呂へ
向かう道を走りながら、亀を探して下さい。と、前方に「あぁぁ!なるほど!」
と叫ぶほど、どうしようもないぐらい亀にそっくりなコミカルな岬が現れます。
 甲羅の緑が秋に紅葉し、冬に真っ白になり、なかなか風情のある亀です。

[オシンコシンの滝](1)
  斜里から宇登呂へ向かう道の途中にあります。普通は駐車場のある国道側か
ら滝を下から眺める形になります。駐車場があるのはこっちです。滝の上流側
には旧道があり、滝を上から眺められます。旧道へ登るには滝から国道を行く
か戻るかします。

 [オロンコ岩](2)
  宇登呂港(遊覧船乗り場の方)の目の前に、大きな岩の塊のようなものがあり
ます。高さ58m。春にはモイワシャジン、イワベンケイ、センダイハギ、エゾ
ヨモギキクといった花も咲いています。ここに登って見る景色はなかなかのも
のです。(なんせ高いし、周囲に何もないから)
  宇登呂のあたりは夕日がきれいな事で有名ですが、オロンコ岩からの夕日は
最高でしょう。階段がある側に夕日が沈みますから、登ってる途中でひと休み
しながら見る夕日も格別。ただし、夕日に見とれているうちに暗くなってしま
うと照明も無い急な階段は非常に危険です。名残惜しくても明るいうちに降り
るようにしましょう。

[プユニ岬](3)
  宇登呂の街を先端方向へちょっと出て、坂を上ったところの道路脇に展望台
があり、宇登呂の町並からオホーツク海までを見渡すことが出来ます。実際に
は岬の先端はこの場所からは隠れて見えません。ここもオロンコ岩同様夕日が
きれいに見えます。道路脇で手軽に夕日が楽しめますよ。

[乙女の涙(フレペの滝)](4)
  宇登呂の町から先端方向へしばらく行くと、知床峠への分岐の脇に知床自然
センターがあります。その横の遊歩道を海に向かうと、海に面した崖の途中か
ら海に流れ出る滝があります。上空にはアマツバメ、オオセグロカモメを見な
がらお散歩気分で、すぐに湧き水の滝が見え、滝をはさんで灯台が見えます。
崖の面が涙を流しているようだという事で「乙女の涙」と呼ばれています。木
でできた簡単な展望台があり、晴れた日には羅臼岳をバックに奇麗な光景が見
られます。
  展望台のところに柵があり、その先は立入禁止となっています。柵より先は
海に突出た断崖の上を人が一人やっと通れる細い道がさらに先まで続いていま
す。もっといい景色を見ようと柵を越える人がいるようですが、ちょっとでも
足をすべらしたり、強風にあおられたらそのまま海まで落ちていってしまいま
す(実際に事故があったそうです)。

!警告!  人が先まで行っているとつい自分も行きたくなりますが、柵を越える
        べきではないでしょう。

  国道から滝の真上までは草原です。春にはエゾカワラナデシコ、キオン、ハ
ンゴンソウと一面の花畑になるそうです。秋にはススキの原っぱになり初雪の
知床連山がバックに見えこれもまた良いのです。また、午後二時には滝に虹が
かかる、「二時の虹」というゴロ合わせのような現象は有名です。
  宇登呂からは5km程度なので、レンタサイクルでも可能です。しかし、宇登
呂を出てからしばらく登りが続くので、あわてずにゆっくり行かないとつらい
かもしれません。バスで行く場合は自然センター前で降ります。

[男の涙(門脇の沢)](4)
  乙女の涙の少し先に、やはり海に落ちる滝があります。一般に、乙女の涙と
対で「男の涙」と呼ばれています。ただ、男の涙という名前は宇登呂の街はず
れにある水子地蔵に落ちてくる滝(旅館街の下水)だ。と言う説もあります。そ
れほど、男の涙と呼ぶにはもったいない美しい滝なのです。しかし、足場の悪
い急斜面と熊の多出没地区(巣があると言われている)にあるこの滝は斜里町の
立ち入り自粛地区にもなっており、このガイドで行くことを薦めるのは少し勇
気が必要です。

!警告!  周辺はもろに熊の縄張りに入っています。知床自然センターでも行き
方は教えてくれません。この後紹介する[海から知床を見る]のどの方法でも、
この滝を見ることができます。どうしてもみたい人は海から見ましょう。

[カムイワッカ湯の滝](5)
  近頃とみに有名になったカムイワッカです。宇登呂から行くと、自然センタ
ー脇を知床五湖方面へ左折、岩尾別YHを過ぎてすぐにある岩尾別温泉への分岐
を五湖方面へ直進し、五湖入口の手前を右に分かれます。五湖より先は砂利
の多いダートです。

!注意!  ダートは滑りやすく路肩がしっかりしていません。車、バイクの方は
        慎重にゆっくり走りましょう。周辺は鹿が多く、ひんぱんに道路に飛
        び出してきます。

よく落ちている車があります。ここで落ちてしまうと、最寄の公衆電話は知床
五湖の売店(しかも売店が閉まっていると電気がないので使えない)携帯電話は
圏外、連絡できても警察と救急車は宇登呂、レッカー車は斜里、大病院は北見、
網走まで行かないとありません。全く洒落になりませんので十分注意した運転
をしましょう。

       -----------------MLメンバーからの情報---------------------
  (1997年7月20日)落ちたばかりでまだライトのついた車を見かけました。
スピードを出し過ぎてカーブに突っ込み、スピンしてかなり速度が落ちたもの
の止まり切れずに尻からずり落ちたようでした。
       ----------------------------------------------------------

バイクは埃まみれになります。車の多い時期、自転車は避けた方が賢明です。
五湖の駐車場に止めてバスを利用しましょう。
 すっかりメジャーになり、夏の渋滞が問題になっていたカムイワッカですが、
とうとう1999年より交通規制が予定されることになりました。

   規制路線
      道道知床公園線の知床五湖以奥
   規制車両
      路線バス(シャトルバス)及び自転車を除く一般車両
   規制期間
      1999年7月26日(月)〜8月10日(火)の16日間(終日)
車は自然センター駐車場またその先の臨時駐車場に置いてシャトルバスでカム
イワッカ方面へ向かうことになります。知床五湖駐車場に車を置いて行くこと
はできません。

   シャトルバスの運行時間
      往路 知床自然センター 始発便 7:00、最終便 17:40 20分間隔
      復路 知床大橋         始発便 7:50、最終便 18:30 20分間隔

   シャトルバスの運賃
      知床自然センター 〜 知床大橋
      片道590円、往復1180円(小学生以下半額)

   問い合わせ先
      環境庁知床国立公園ウトロ管理官事務所 01522-4-2297
      斜里町環境保全課自然保護係           01522-3-3131(代)
      北海道網走支庁環境生活課自然環境係   0152-44-7171(代)
      バス運行について:斜里バス       01522-3-3145
     
http://www.ohotuku26.or.jp/organization/shari/kanko/trfcctrl.htm

天然の湯船になっている滝壷まで、沢の中を20分ほど歩きます。小さな滝壷の
手前には少しなだらかな斜面があり、その下にも大きくお湯が溜まっている場
所があります。斜面はなだらかでもそこを登るのは大変なので、左右に流れを
避けて上まで登ります。左側の崖が登り易そうに見え、多くの人が登っていま
すが岩の上に熱い湯の湧き出し口がある上に崖の表面が脆く、危険です。この
ガイドを読んだ人は右側を登りましょう。
  下の湯溜まりに入っている人も結構いますし、子供達がそこの斜面を滑り台
にして遊んでいる事もあります。今までいろんな市販ガイドを見ましたが、下
の湯溜まりの写真を載せているものがほとんどです。
 上の滝壷は歩いて登れる終点です。更に上は崖になっています。噂では、そ
こを更によじ登り、途中の小さな穴にひそんで覗きをやろうとして落ちた人が
いるとか、、、(笑)

!警告!  沢登り(特に下り)は怪我をしないように慎重に。落ちたりして怪我を
        しても、前述の通り救出されるには数時間以上かかります。

  滝壷までは、ズボンをまくり上げて浅い流れの中を歩きます。靴を脱いで裸
足で歩くと足の裏が結構痛くて大変です。軍手のような地の厚い靴下を履くと
いう手ありますし、濡れるのを覚悟で靴を履いたまま登るという手もあります。
岩尾別YHでは厚い靴下(軍足)を貸してくれました。(1997年)知床YHの売店
ではわらじ(500円くらい、1994年以前)、宇登呂の金物屋では600円で「カム
イワッカ足袋(ゴムのイボイボがついた足袋。ガレ場では少々痛いが、流れの
中ではまったく滑らずGOOD!)」なるものも登場しています(1998年)。登
り口の所では500円でわらじを貸す露天がよく出ています。個人的には、底の
柔らかい靴(底はゴム)を素足の上に履くのがベストだと思います。滑るのに備
え、必ず両手は空けておいて下さい。水の流れている所を選んで歩くのがベタ
ー。流れの無い場所はかえって滑ります。
  ここのお湯は強い酸性です。傷口に浸みますし、金属は変色してしまいます。
カメラやアクセサリーは水に濡らさないよう注意して下さい。著者は知らずに
滝壷に飛び込み、目がつぶれそうになりました。
 片道20分強の歩きはそれなりの運動です。カムイワッカの効能は「疲労増進」
であるというのは有名な話ですね(笑)。
昼間はもちろん早朝でも人がいますが、まだ早朝の方がましでしょう。但し、
この辺りは熊の縄張りなので、あまり人が来ない時間に一人だけで行くのは危
険かもしれません。滝の近辺に昼食をとる場所がないため、ツアーで来る団体
さんが来れない昼食時、12時〜13時頃が意外な狙い目です。
 9月の下旬にゲートが冬期封鎖に入りますが、その直前辺りならそれほど人
は多くありません。GWにせっかく来たからと、通行止めのゲートを越えて徒
歩でカムイワッカまで行く人がいますが、丸1日掛かりで行ってみても、この
時期は雪解け水が流れ込むため、入浴するにはぬる過ぎるそうです。
 また、道路周辺の崖は脆く、落石のなどでたびたび通行止めとなっています。
鹿の飛び出しも多いので、行かれる方は事前に確認しましょう。

[カムイワッカ川周辺]
  カムイワッカ湯の滝は、橋から沢を登って行きますが、その沢を海の方に下
って行くと、最後は大きな滝になって海に注ぎ込みます。この滝は遊覧船など
から見る事ができ、硫黄で黄色く染まった滝の流れがよく分かります。(水は透
明ですが、硫黄の成分が結晶になって岩が黄色くなっています)

        ------------------ML会員Tさんのレポート---------------
  沢づたいに下へ降りて行くと、途中に何カ所か滝があって、そこまでしか降
りられません。また、原生林の中を降りようとすると、そこは完全に熊の縄張
り。縄張りという以上に、熊の住処です。僕は、現地で何度もそこを降りた事
があるというおじさんに偶然出会い、滝の真上まで降りた事があります。しか
し、林の中で新しい小熊の穴と足跡を見つけましたし、途中は80°くらいの坂
を降りたり登ったりする道でした。そのおじさんでも道を間違えて崖の上に出
て引き返した事があるとかで、結構大変な所です。(後日談で、そのおじさんも
途中では結構びびっていたとか。無謀だったかなぁ、と反省しきりでした。何
も無くて良かったぁ、、)
     --------------------------------------------------------

  カムイワッカ周辺は戦前たこ部屋があったところで、硫黄山で取れる純度の
高い硫黄をカムイワッカの河口から船で積出していたそうです。今でも海の方
には跡(木の柱を並べた壁のようなもの)が残っているそうです。そして河口
にはたくさんの人骨が眠っているとの事です。今こそカムイワッカの滝は観光
スポットになっていますが戦前は恐い場所だったのですね。たこ部屋で亡くな
った方たちの冥福を祈りましょう。

[知床大橋]
  カムイワッカの橋を過ぎて更に奥まで進むと、道の終点にあるのが知床大橋
です。橋を渡った所にゲートがあり、その先に鮭の人工孵化場があります。
  かなり大きな橋で、高さもなかなかのもの。迫力はあります。しかし、ここ
の見どころは橋自体よりも、その下の川の上流に見える大きな滝でしょう。道
からは見えませんが、橋を渡ってすぐの所を右上に数mよじ登ると、その向こ
うに見えます。遠くにあるので正確な大きさは不明ですが、相当大きな滝です。
正式名称がついているかどうかも不明です。
  ただし、よじ登った所は足元が狭く、すぐ先は深い谷底ですから、高所恐怖
症の人はご遠慮下さい。足元には十分注意して下さいね。

     --------------------------------------------------------
  【地図】(カムイワッカ〜知床大橋)

      ||||↑(海)
      ||||
      ||||
      ||||                (展望台)            (知床大橋)    (ゲート)
----\___/-----・・・--/ ̄ ̄ ̄\----・・・---\_____/-----+---
                                                               |
----/ ̄ ̄ ̄\-----・・・--------------・・・---/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\-----+---
      ||||  /                                      ・    → (鮭孵化場)
      |  | |                                          ・
      |川| |                                     ・(橋の脇を登る)
      |  |↓(ここを歩いて行く
      ||||    湯の滝まで約20分)
      ||||
                                                               (((
                                                  (名もない滝) (((
     --------------------------------------------------------

 [知床五湖](6)
  知床の代表的な観光地の一つです。五つの湖の間の遊歩道を一周できるよう
になっています。天気が良いと、湖面に映る知床の山々など、結構きれいです。
一周約2.5km、一時間といったところでしょうか。1997年、ここに湖を見渡す
ことができる展望台ができました。駐車場から長さ約160mの高床式木道で結
ばれ、ヒグマが出没し五湖の遊歩道が閉鎖されても、湖が眺められるよう町が
設けたものだそうです。一湖くらいしか見えません。高いところから眺めたい
のなら、少々遠いのですが、羅臼岳登山道からよく見えます。
  知床五湖は観光客が多いのであまり良くない、という声も聞きます。しかし、
バスで来る団体観光客の多くは、それほど時間が無いために最初の2つくらい
の湖(一湖、二湖)で引き返してしまいますので、奥の方の湖まで行くと結構静
かです。五湖から逆に回るという手もあります:-)。あと、早朝や夕方になると
さすがに人が減りますので、その時間に静かな湖を散策するのも良いかと思い
ます。夏の間は、夜間の自然ウォッチングが行なわれる事もあります。興味の
ある方は知床自然センターに問い合わせてみてはいかがでしょう。
 遊歩道の途中を少しはずれると「五湖の断崖」と呼ばれる崖の上に出られる
場所があります。人はほとんど来ませんしなかなかの景色です。入り口は現地
で尋ねてみて下さい。
  五湖の売店にあるソフトクリームが美味しいと評判です。甘酸っぱいハマナ
ス・コケモモミックスというのがここの売りです。知床自然センターでも食べ
られます(もっとも、知床のハマナスやコケモモは使われていないのですけど
ね:-))。
  なお、ここは冬になると一面真っ白な雪原になります。XCスキーなどで更
に奥まで入って行くと、眼下に流氷が広がる海原、反対側には白い知床連山と、
素晴らしい光景です。YHや民宿のツアーでXCスキーができる所もあります
し、知床自然センターでのXCレンタルもありますので、機会があったら行っ
てみて下さい。少し遠いのが難点ですが。
 1998年夏現在、三湖〜五湖は熊の出没により立入禁止になっています。
行ってからがっかりしないよう、事前確認は必須です。

[知床自然センター]
知床の最大の情報源となる施設です。知床に初めてきた人はまずここを目指し
ましょう。
  知床峠方面と知床五湖方面に分かれる分岐点の脇にあります。知床の自然の
情報が展示され、ダイナビジョン(大画面映像)による知床の四季の紹介(有
料:YHや旅館などに100円割引券有り(1997年)なども見られます。歩いて行け
る距離に乙女の涙があり、様々なネイチャーウォッチングやトレッキングツア
ーの出発点となっています。売店や喫茶もありますから、自転車で回っている
人の休息場所にも最適です。「熊笹そば」というメニューの噂を聞きました
(1994年頃)が、食べた人によると「話のタネ」だそうです。興味のある人は自
分の舌で試してみて下さいね。

    [知床自然センター](1998年8月)
        開館 8:00〜17:40(4月20日〜10月20日)、
       9:00〜16:00(10月21日〜4月19日)
          1998年末〜1999年始には、12/31 のみ休館でした。
       正月は開館時間変更の可能性あり。詳細は確認して下さい
    ダイナビジョン上映((※)以外毎時20分開始、上映時間20分)
       8:20上映開始〜17:00上映開始(※)まで(上記夏期)
       9:20上映開始〜15:20上映開始まで(上記冬期)
    交通 斜里バス「自然センター前」下車
        料金 入場料無料、 
       ダイナビジョン入館料一般500円、小中学生200円
        連絡 tel.01522-4-2114
    知床自然体験ツアー(1998年分一部紹介、詳細は要確認)

    ・フレペの滝ネイチャーウォッチング
    ・ 知床五湖ネイチャーウォッチング
    ・ 早朝探鳥会
    ・ サケ・マス自然産卵ウォッチング
    ・ 夜の動物ウォッチング
    ・ 冬の動物ウォッチング
    ・ 歩くスキー雪原ハイキング    など

[岩尾別温泉]
  知床五湖方面とカムイワッカ方面の分岐点のあたり、岩尾別YHの前の分岐
を内陸方面に約4km、ホテル地の涯があります。このホテルの裏手に羅臼岳登
山口があり、ホテル内に内風呂と野天風呂、駐車場の脇に無料露天風呂があり
ます。
  無料露天風呂には、駐車場に入って左の方に歩いていきます。車で来た人は
ホテルの邪魔にならないよう隅に駐車しましょう。森の中の静かな温泉ですが、
連山や海は見えません。林の中に小さな湯舟が3つ、更に奥にちょっと歩くと
1つ、あります。脱衣所はありません。3つの湯舟の中の下の1つが女湯に使
われていましたが、湯壷の路肩が崩れてしまい当分工事はしないとの事。よっ
て女性は混浴か、奥に新設された1つ(たぬきの湯;-):滝見の湯)に入ることが多
いようです(女性専用と特に決まっているわけではありませんが)。(1995年)泉
質は弱食塩泉です。 無色透明の湯で体にも良いそうで、宇登呂の住民がリハビ
リに来るとか。ウトロ温泉のお湯より良いという事です。
  ホテルの中の有料の風呂もなかなか良く、野天風呂は丸太をくり抜いて作っ
た気持ちの良いお風呂だという事です。(1995年)
  なお、羅臼岳登山口の脇にある山小屋「木下小屋」にも露天風呂があるそう
です。(1994年)あらかじめお願いすれば入れてもらえる事もあるという事です
が、これはオーナーの気持ち次第。何とも言えません。

  [かれ沼]
  知床自然センターから数km峠方面へ向かい、長い直線の手前のカーブのあ
たりから山の中を右に入って行くと、雪解けの時期には沼(湿地)になる「かれ
沼」があります。冬には真っ白な平地になり、人の気配のない木立の中の空間
は静寂に包まれた美しいものです。夏なら徒歩20分弱で到着します。途中、林
の中で道を見失いそうなところがありますので、気をつけて下さい。
 (1997年7月21日)すでに水はなく、草野球ができるほどの大きさの広場にな
っていました。湿地状ではなく、完全に乾いています。一面にシダのような新
芽が出て綺麗でした。雪解けの時期にはこの広場全体が沼になり、季節が進む
につれて次第に干上がってくるのだそうです。その中に二箇所ほど丸い穴があ
り、周囲に草が茂っています。ここは最後まで水が残っているそうです。この
時点では穴の中にもすでに水はなくなっており、わずかに湿り気が残る程度で
した。
  水がある内に、この穴の中ではオタマジャクシが大発生するそうで、干上が
るにつれて水の残る中央部に集まってくるそうです。成長が早くてカエルにな
って逃げられたものは幸いですが、それ以外の多くは干上がると共に死んでし
まって腐臭を漂わせ、蝿がたかっていました。
  年にもよるでしょうけど、6月くらいだと全体には水は引いて、穴だけに水
が残り、天気が良ければ羅臼岳が写って綺麗だそうです。腐臭もないのでこの
時期がお勧めではないでしょうか。
  また、水がある時期にはここはエゾジカの水飲み場になっているようで、穴
の周辺には足跡がたくさん残っていました。

[ウナベツ温泉](10)
  斜里から知床方面へ入ってすぐの所に、峰浜(みねはま)という集落がありま
す。そこをちょっと入った所にある温泉です。つるつるしていてこぢんまりと
した温泉です。スキー場ロッジの脇にあるウナベツ自然休養村管理センター内
(01538-2-2131、宿泊4350円〜)で、入浴料200円(1994年)です。風呂自体は
普通の内湯ですが、隣のスキー場の立地が最高。オホーツクの流氷を眼下に見
ながら滑れると思います(まだ滑った事は無いのですが、、)。 峰浜バス停から
徒歩20分程度。斜里からもすぐなので冬の穴場かも。

[ウトロ温泉]
  知床YHのある周辺は温泉街です。ここのお湯は少しねっとりしている感じ
がします。YHやホテルなどビジター利用可能なところもあるようですし、フ
ロントに聞いてみたらいかがでしょう。知床の原野を探検した後ここで風呂に
入って、着ているものをコインランドリーで洗濯し、山だにを駆除して行く方
法をとる人も多いようです。(知床の原野ってそんなところです。帰ってきた
らザックに穴があいていて???と思ったら、だにがいたなんて話あります)
  しかし、ここ3年ぐらいは夏に限らず入れてもらえないことが多いようです。
なお知床第一ホテルの超豪華な温泉風呂には1200円(1995年)で入れるそうで
す(15時まで。宿泊者が多いと断られる事もある)。

4. 羅臼側の見どころ
  知床峠に向かって羅臼市街を抜けたあたりに、「羅臼ビジターセンター」が
あります。入場無料。羅臼町内でのヒグマの目撃情報は全て集まっている…よ
うなので、羅臼側から山に入る場合には必ず立ち寄るべきでしょう。

[ひかりごけ(マッカウスの洞窟)](7)
  羅臼町市街から約1.5km先にある小さい洞窟(ちょっとくぼんでいる)の奥に、
珍しいひかりごけの群生があります。よく見ると光ってるそうですが、僕には
よく分かりませんでした。そんだけです:-)

[熊の湯](8)
  羅臼から知床横断道路方面へ登って行くと、途中にゲートがあります。その
左脇(駐車場の奥)に、熊の湯という露天風呂があります。脱衣所もついていて、
男女別(女性側は道路から見えないようになってる)なので、安心して入れます。
それでいて非常に気分の良い風呂です。
  ここは、羅臼の町の人が自分達用に作って管理していると聞いています。最
近では外から来る人も増えているようですが、後を汚したりしないように入っ
て欲しいものです。温度が高いのですが水を入れようとすると、地元の人に「
泉質が薄まる」と言って嫌がられます。熱い湯にじっとつかっていると慣れて
くるとの事。この道路の向かい側にキャンプ場があります。そのキャンプ場を
利用して熊の湯につかって来るのもいいですね。夕方以降は地元の方が沢山入
りに来ます。女湯は9時頃にはとても混むとの事。ゆっくり入りたい方はその時
間を避けた方が良いでしょう。

[間欠泉]
  熊の湯からちょっと羅臼側に戻ったあたりから、キャンプ場の側にちょっと
入った所にあります。大体、数分に一回の小さな吹き出しと一時間に一回程度
のでかい吹き出しがあると言います。しかし最近ではその頻度もめっきり減っ
たという事です。時間があればゆっくり見ていくといいと思います。大きな噴
出を見る事が出来たらかなりラッキーです。

[目梨湿原]
未確認情報です。羅臼側から横断道路を登った3、4合目にあるようです。
地図にも載っていません。著者は写真で確認したのですが、ターコイズとでも
いうのでしょうか、白に近い不思議な水色の湖面がきれいないくつかの沼が確
認でき、沼と沼の高低差があったり、湿原の間が歩けることなど、不思議な湿
原だと聞きました。
 どなたか、詳しい情報をお待ちしております!

[セセキ温泉](9)
  羅臼から半島先端方向へずっと行くと、途中で右側に「セセキ温泉」の看板
が見えます。で、湯船はどこかというと、道の下の海岸に、砂利に埋もれるよ
うな感じで小さな湯船が2つあります。はっきり言って、道路からまる見えで
す。(笑)
  満潮時には海に沈んでしまいますし、すぐそこに波が打ち寄せているので、
入ったら最高ですが、なかなか裸で入る人はいないようですね。 夏には水着を
着て入る人が結構いるようですが、夏には昆布漁が行なわれますので、邪魔に
ならないように注意しましょう。
  (1993年7月)湯船付近の道路に看板を立てていた人がいました。看板の内容
は「ここの管理をしていますので、利用希望者はどこそこへご連絡下さい」と
いうような内容でした。連絡先は個人の名前でした。そこで、「入りたいんで
すけどぉ」とうかがったら、「どうぞどうぞ」と気軽な返事が返ってきました。
「入浴を規制するつもりはないんだけど、管理しているということを知ってほ
しいから」というようなことを話されました。この看板がいまもあるかどうか
は未確認です。そのときは、湯の中は海草だらけで、真っ黒で入るのにちょっ
と勇気が要りました。

[相泊温泉]
  セセキよりもう少し先の、道が行き止まりになる所にあります。これも海岸
にある露天風呂ですが、セセキよりは入りやすいかもしれません。湯船は簡単
に囲ってありますし、簡単な脱衣所(らしきもの)もあります。道が終った所を
海岸に歩いて出て、もう少し先です。
  (1995年7月)道路の横を海側におりたところにあって入れました。湯船は3
方及び屋根を板でかこまれていて海側は開けているのですが、半円球のテトラ
ポット(?というのかな)があるため、温泉につかっては海が見えません。

 セセキも相泊も、目の前が海で、更に国後が目の前に見えます。
  7〜8月は相泊までバスが出ていたと思います。(未確認)

[羅臼温泉]
  羅臼の町から知床横断道路をしばらく登って行くと、数軒のホテルが並んで
います。熊の湯やキャンプ場の少し手前にある、知床観光ホテルや羅臼第一ホ
テルなどがそれです。外来の入浴もOKだと思います。すぐ脇に羅臼ビジター
センターもあります。

[望郷台]
  羅臼の町から標津方面に少し戻ったあたりの丘の上にある展望台です。国後
からの日の出が素晴らしいそうです。また、羅臼岳もよく見えるとのこと。町
中から徒歩で30分程度です。

5. その他

 [知床峠]
羅臼と宇登呂を結ぶ『産業道路』として、知床横断道路が10年以上前に開通し
ました。現在は、堂々たる『観光道路』です。そしてその横断道路の中間点が
知床峠です。冬期通行止めなので注意が必要。知床峠が通行止めになると、半
島の根もとの根北峠まで回らなければならないので結構大変です。
 横断道路のゲートはGW時にオープンし、道路は雪の壁の中を通ります。知
床峠からは、天気次第ですが正面に真っ白な羅臼岳の堂々たる姿や樹氷などの
景色が楽しめますが、オープン直後は10:00〜15:30(1998年)と、開通時間
が短いです。また、GWの連休には無理して除雪しても、連休後はしばらく閉
鎖という年もあります。

[海から知床を見る]
知床半島は、陸路で先端まで行く事はできません。宇登呂側の道は、途中で知
床五湖方面(五湖で行き止まり)とカムイワッカ方面(知床大橋で行き止まり)に
分かれており、羅臼側の道は相泊までで終わりです。どうしても知床岬を見た
い人は基本的に海から見るしかありません。ただ、岬に上陸はできません。
 羅臼には、漁船に乗せて知床岬まで行ってくれる漁師さんもいます。陸から
陸へ人を運ぶには免許が必要なので、岬まで運んでくれる人は限られています。
ただ岬の自然保護のために岬に上陸は止めようと言う自粛運動があります。
(詳細は後述[知床岬])

それでは、海からの知床を、体験記も交えて紹介しましょう。方法は、

(1)普通の観光船
(2)自然観察船(ネイチャー・ウォッチング・ボート)
 正確にはチャーター漁船です。
(3)シーカヤック
です。

硫黄山くらいまでなら(1)が安いようですが、船が大きいのであまり岸に近付け
ないという難点があります。揺れが少ないので体力的には楽でしょう:)
(2)(3)はかなり岸に近付けて、動物などもじっくり観察できる反面、少し値段が
高いのと、天候に非常に左右されるのが問題ですね。

(1) は宇登呂港から出ています(知床観光汽船)。途中の硫黄山付近で折り返して
くるコース(a)と半島の先端まで行くコース(b)があります。(この章の冒頭の地
図中参照)天候が悪いと欠航する事もあります。この観光汽船は予約の必要は
ありませんが、非常に混む時期には、前日までの混み具合を問い合わせて、早
めに現地へ行きましょう。

(1998年現在の情報)

  コース(a):硫黄山折り返し(所要時間1時間30分、大人2700円)
    宇登呂発  8:15    10:30   (12:30)
             14:30   (16:30)  ( )内は季節運行

  コース(b):知床岬折り返し(所用時間3時間45分、大人6000円)
    宇登呂発 12:10のみ

(2) は観光汽船と違って小さな船なので、崖下にもかなり近寄れますし、オジ
ロワシや熊(崖を歩いている熊が見つかる事もある)などを見つけるたびに止ま
って教えてくれます。迫力も観光汽船より上のようです。また船が高速なので
短時間で往復でき、時間のない人向けには良いかもしれません。注意点として
は、観光汽船と違って風から逃げる所が無く、夏でも結構寒い(かと思えばめち
ゃめちゃ暑いときもある)ので、ジャンパーやウィンドブレーカーが必要だとい
う事、飲食物(特に昼食)は用意しておく事、船に弱い人や小さい子供には不向
き、などがあります。20人分くらいのウィンドブレーカーやポンチョは貸して
もらえます。双眼鏡も貸してもらえますが、あまり無中になって覗いてばかり
いると酔ってしまいます。人数が集まらなかったり、天候が良くない時には出
ませんので、欠航したら残念ですが諦めましょう。この船に乗るために岩尾別
YHに連泊している人も結構います。
 著者はお盆に乗るために5日ほど前に電話をしましたが、予約は一杯でした。
問い合わせは早めに。

       ----------ML会員Mさんからの情報です。(1999年7月)------
この日は寒かったものの本当にべた凪で、着込んでいれば実に快適な遊覧でし
た。行きにルシャ川河口付近で1頭見たのを皮切りに、熊2頭に海豚の群、帰
りは親子熊やルシャ川河口で午前中から遊んでいるのを含めて9頭見ることが
出来たのも楽しかったです。船頭さんのガイドも興味深いです。操船しながら
鳥の見分け方や特徴等を教えてくれます。
 その他にも、川という川で遡上する鮭を捕まえて孵化させているので、陸で
も海でも食物連鎖が狂ってしまったこと、鮭だけが増え過ぎて餌不足らしく、
大きく育たなくなって結果的に漁業者自身で首を絞めていること。国立公園内
であるにも関わらず、既に幾らも残っていない針葉樹の伐採を北見営林署が企
み、搬出用のヘリコプター会社を設立済みであること、といった現場の話をし
てくれました。家具材として高く売れる広葉樹(ミズナラ)が目的だったとか。
伐採計画の責任者がヘリコプター会社に天下ったこと、計画自体が全国かの反
対の声で中止になったこと、など話してくれました。
 また、どうしても大物や雄大な風景に目が行き勝ちですが、宇登呂から知床
岬に掛けての岸壁は、膨大な数の鵜、鴎の類の住処で存分に観察できます。
(本当は大物狙いに鵜の目鷹の目で碌に見ちゃいないんですけどね。^^;)
     --------------------------------------------------------
    [自然観察船(ネイチャー・ウォッチング・ボート)]
        知床岬コース:6月末〜9月末、6000円(1998年7月)
        8:30 ボンズホーム前集合
        8:45 出航 〜 15:00 帰港
前日19:00までに「ボンズホーム」(01522-4-2271)へ予約(乗船券購入)が必要で
す。岩尾別YH宿泊者は、YHでまとめて予約を聞きます。

(3)シーカヤック
      --------------ML会員Iさんからの情報です。------------------
開陽台で見つけた一枚のパンフレット。そこには、知床のシーカヤックツアー
の案内がありました。1時間3000円。まあまあ安いな。これはいっちょう
やってみるかと、ウトロに向かいました。
 パンフレットに書いてある携帯電話の番号にかけ、申し込みました。なんと、
今日の予約は無いとのこと。誰も申し込んでいない幸運に感謝し、4時間コー
スのウトロ−岩尾別往復のツアーを申し込みました。
 待ち合わせの場所にやってきたのはなんとシットオントップを6艇も積んだ
北見ナンバーのワンボックスでした。大胆な積み方にあぜん(^^;。ガイドは北
海道の方で、高橋さんといいます。黒い犬を連れていました。「今日は海の状
態がいいから、岩尾別より遠くに行けたら行きましょう。追加料金はとらない
よ」と言ってくれる気前の良い方でした。
 私達は、持っているカヌーと同じということでマリブツーを借り、高橋さん
はスクランブラーXTで出艇しました。そして、スクランブラーのバウには車
の番をするのかとばかり思っていた犬がすっくと立っていました。川や湖でカ
ヌーに乗るカヌー犬は数見たけれど、海でカヌー犬を見たのは初めてです。お
まけに波をものともせず、ごみが浮いていれば拾うとても賢い犬でした。
 知床の海はとても澄んでいて、下の方まで良く見えます。砂浜が無く断崖絶
壁だらけなので、水が濁らないのでしょう。手にとってもべたべたとせず、さ
らっとしています。曇りなので海の青みが足らないですが、そのおかげで風も
波も無い絶好のカヌー日和。ときどき観光船が大波を立てていくのを除けば。
 知床岬の方に進んでいくと、ずっと崖が続きます。滝があったり洞窟があっ
たり、定置網があったり。この定置網のおかげで、観光船が近くまでよれず、
シーカヤックでしか見られない風景というのがあります。洞窟も近くまで寄っ
てみると、さらに奥へと入れたり、自然の作り出した地形を楽しむことが出来
ます。
 カモメの営巣の時期らしく、岩場でかわいらしいひながちょこちょこ動いて
います。見ようと近付くと親達が騒ぎ、ふん爆弾を落としていきます。でも、
あまり正確でないのでよほど運が悪くないと当たりません。
 予定より早く、目的の岩尾別の浜まで来てしまいました。まだ、日は高く海
の状態がいいので先へ行こうとのこと。洞窟探検や、岩場に上陸してきれいな
コケの鑑賞をしながらずんずん漕いで行きました。高橋さんによれば、今日は
知床でも年に何回あるかという海の状態のいい日だそうで、「仕事放り出して
漕ぎたいなぁ」と言っていました。
 高橋さんのお話は、興味深いものでした。シーカヤックと地元の人達との軋
轢、観光船とシーカヤックツアーの問題、ガイドのあり方、シーカヤックツア
ーの広報、北海道の穴場など。ツアー客には普通分からないけれど、いろいろ
ご苦労されているようでした。
 しばらくいくと、観光船が停泊しているのが遠くに見えます。聞くと、「あ
そこがカムイワッカの滝だ」そうです。観光バスが乗りつけるというあのカム
イワッカの滝です。午前中に車で寄ってちょっとうんざりして来ました。あの
下にも滝があったなんて。でも、滝が見えてからの遠いこと。見えるのだけど
なかなか着きません。やっとの思いでたどりつき、海の上から滝を眺めます。
高さは20m近くあるのでしょうか、なかなか雄大な滝です。海水もこの辺だ
けは、硫黄が混じるのか少し濁ります。ちょっと冷えた体を温められるかとカ
ヌーを上陸させ滝に向かいました。だけど、ぬるいというより冷たいに近い水
温でした。この上には温泉があっても、流れ下る間に冷めてしまうみたいです。
 んー、残念。これで暖かければ言うこと無しなのに。
 カムイワッカの滝をバックに写真を取り、いよいよ戻ります。予定の片道の
時間を大幅にオーバーし、カムイワッカまで連れてきてくれるという大サービ
スに感謝しつつも、日がだいぶ傾いてきたのでちょっと不安が...。
でも、体力的には私も妻もまだまだ余裕がありました。
 帰りにもいろんな見どころを教えてくれつつ、高橋さんは漕ぎます。犬を乗
せてひとりで漕いでいるのにガイドと言うだけあってさすがに速い。
 こっちは2人なのにちょっと気合いを入れないと置いて行かれるのですが、
先が長いので無理せずに漕ぐことにしました。カヌー犬も飽きずにおとなしく
乗っています。
 薄曇りの中、なかなか姿を見せなかった太陽がついに水平線近くで顔を見せ
ました。オレンジ色の夕日です。そしてどんどん赤くなっていきます。岩尾別
の浜のあたりで真っ赤になりました。岩尾別の浜には岩尾別ユースホステルの
夕日ツアーと思われる一団が。彼らと太陽の間に私達は入ってしまいました。
せっかくの夕日を邪魔をしてしまったけど、夕日とシーカヤックという珍しい
景色が見られたのではないかな?なんて思いながら漕ぎました。
 もう少しで日没というときに、高橋さんが崖の方に案内します。その先の洞
窟に急いで入り、上陸。シットオンだから上陸できるような場所です。すると
そこから夕日が見えました。洞窟とカヌーと海と夕日。今までの疲れが吹き飛
ぶような美しい情景でした。
 そしてまた漕ぎます。もう7時を回っているけれど、あとひと頑張り。日は
沈んでもまだまだ明るく、そんなに寒くありません。水面にウリクラゲを見つ
け、そのネオンのような光を発する姿に魅せられます。飼う人の気持ちが分か
ります。冬この海で流氷の間を漕ぐとクリオネが見えるなんて北の海の神秘を
聞きながら漕ぎます。残りの距離も少ないので、スパートをかけつつ。
 ウトロのホテル街が見えるころには日もとっぷりと暮れてしまいました。で
も、おかげで海から思わぬ夜景を見ることが出来ました。海から見る夜景もい
いものです。あともうちょっとというところで、カヌー犬が飽きてしまい、吠
え出しました。今まで高橋さんに甘えつつも静かにしていたのだけど。よく7
時間もおとなしくカヌーに乗っていたなぁ。
 上陸したときには既に8時を過ぎていましたが、とても楽しいシーツーリン
グでした。

 お店の名前 :ワイルドネスGYM(ジムと読む)
 問い合わせ先:090-8275-2242(携帯電話のみ)
店舗はなく高橋さんというガイドさんがひとりでやっています。携帯電話とワ
ンボックスとその上に積んだ6艇のカヤックが全てというサービスです。予約
はした方がいいです。
ただ、コースに出ている場合、携帯は昼間通じません。圏外の可能性大です。
 未経験者には漕ぎ方を教えてくれます。ガイド1人でやっているので、大き
なツアーは組めません。

 用意するもの
・水着(多分濡れます。)
・寒くなった時に中に着るもの(トレーナーなど) 

 用意してくれるもの
・シーカヤック(正確にはシットオントップ。マリブオーシャンカヤック 
 とピラニアのもの)
・パドリングウェア上下 (ある程度濡れるのを防いでくれる)
・ライフジャケット
・パドル
・サンダル(無料レンタル)
・おやつと昼食のパン・飲み物

 パドルは、フェザーのみです。フェザーって何だ?って方は気にしなくて
いいです。
 料金の中に保険料は含んでいますが、サポートは1人だけなので、限られた
ものになると思います。

 パンフレットからの抜粋を以下に転載します。
<<コース>>
o自由体験コース<約1時間>
 早朝や夕日見学のショートコース。
o男の涙コース<約2時間>
 男の涙−フレペの滝−チャポイ岬−プユニ岬
o岩尾別コース<約4時間>
 岩尾別海岸−ポロシュマチセ−象の鼻−クンネポール−男の涙−
 フレペの滝−チャポイ岬−プユニ岬
*天候によりコースが変更になる場合もあります。

  料金:1時間一名3000円 但し小学生以下は同伴者が同乗の場合無料。

    --------上記の情報を元に、初めてカヌーに挑戦した--------
            ML会員Aさんのレポートです。

 私も挑戦しました。夜になり、やっと連絡がつきましたが、あっさり、
「予約はありませんよ。」
 え?なんでこんなお盆に?と思いながらも顔合わせに翌朝ウトロのキャンプ
場に来てもらい、案外携帯電話だけでは客集めに苦労していて、キャンプ場に
勧誘にまわっていることなどを聞きました。が、人数が集まっていないと割高
になります。4時間×3000円が12000円ですが、人数がまとまれば1万円には
なるようです。高橋さん、ちゃんと勧誘しといてね!と、翌日に望みを託しま
したが、新たに勧誘したのは2時間コースの人ばかり4人:-(。
 初心者の私でしたが、中途半端はきらいなので4時間を選びました。
全員初心者。パドルのレッスンはなんと10分。カヌーとは違いますね:-)。
即、出発。プユニ岬〜乙女の涙〜男の涙と進み、クンネポールへ上陸、休憩。
 岩場にざっぱーんと打ち寄せる波にうまく乗り、がーんと上陸したらすぐに
艇を引き上げる。波に対し横を向いたら確実にひっくり返るので、ちょっとス
リルです。
 みんなはここで折り返しますが、僕はどうするのだろうと思いきや、「ここ
で2時間ほどぼーっとしといて。」の一言。4人を連れ帰って高橋さんがもど
ってくるまで、クンネポールで無人島気分を味わっていたのでした。

#観光船にはさらしものになるし。「誰だありゃ?」って:-)。

高橋さんが戻ってきてほっとしましたが、そこから象の鼻〜バックに羅臼岳を
望む岩尾別浜(現在立ち入り禁止)の2つぐらい先の断崖で折り返し〜2つほ
ど洞窟へ上陸〜象の鼻へ上陸して昼寝、 そしてウトロへ向かいました。
象の鼻にはオジロの巣があり、観光船からでもその姿は観察できるでしょう。
高橋さんの案内のもと、ウミウの捕食やクラゲ、ほか海鳥のひななどを間近に
観察できました。雨や風のあとに奇跡的に霧も晴れ、昼過ぎにはベタ凪という
絶好のコンディションです。
 「黒いカヌー犬」の名前はプリン君です。賢いというか従順というか、おも
しろい犬です。高橋さんは観光船にウケを狙うため、プリン君が従順なのをい
いことに、海に飛び込むよう命じます。
 なぜか知床の海を泳ぐ黒い犬が観光船から見えたら、それがプリン君です。

 帰りは高橋さんのピッチがあがります。行きは「初めてにしては筋がいいね
え」なんて言われていい気になってましたが、「のんびりしてたら4時間で帰
れないよ。」とだんだん態度が厳しくなります。が、腕も重くなり、なかなか
進みません。着く頃には口数も少なくなります:-)。
 陸にあがってから少し話をしました。今の知床岬の現状について聞きました
が、岬に憧れる一人として、皆さんががっかりすると思うので、詳しくは書き
たくありません。観光客の立ち入りや岬の荒らされよう・・聞くにつれ、「完
全に立ち入り禁止にして、永久に秘境のままにしてほしい」とさえ思いました。
「クンネポールで2時間昼寝をした」ことのほうが貴重な体験でしょう。海鳥
でもなきゃ立ち入れない場所だもの:-)。断崖をほんとの真下から眺める迫力
はどんなに小回りの利く漁船でも体験できません。
 初心者の方ほど、おすすめです。値段は高いとも安いとも思いませんでした。
金額の問題ではなく、いくら払ったのか忘れてしまうような体験ですよ。
     --------------------------------------------------------

[羅臼湖]
  知床峠から羅臼側に3km強下がった辺りの「見返り峠」手前にアメダスの計
測小屋が右側に見えます。そこから少しウトロ側に引き返すと、左側にあまり
目立たない入り口があり、小さな階段と入山者名簿があります。「1の沼」か
ら「5の沼」まで巡り、徒歩で約1時間ほどで終点の羅臼湖を眺める展望台に着
きますが、湖そのものにはあまり近づけません。3の沼、4の沼には湿原が広が
り、ここから眺める羅臼岳は圧巻です。初夏ならエゾカンゾウ、ワタスゲ等の
高山植物も楽しめます。一部木道が整備され始めているようですが、天気によ
り、道が湿地帯のような様相を呈している事があります。そのような場合、足
をぬかるみに取られやすいので注意が必要。しかしぬかるみを避けて道でない
ところに足を踏み入れないで下さい。ここは高層湿原と言って長い年月かかっ
て出来た自然の場所なのです。人が体重をかけてしまうとその構造が壊れてし
まい、水が上がってきてしまいます。復旧には何百年もの月日が必要なのです。
長靴があれば歩きやすいでしょう。
  道からの入り口付近にはバス停はありません。車を止めらそうに見える場所
は少しだけありますが、知床峠は全線駐車禁止ですから知床峠でバスや車を降
りて歩くしかないでしょう。
 また、付近には親子熊の情愛に由来して名づけられた「熊越の滝」もありま
す。羅臼湖への木道は、現在「工事中」で通れないようです。上記のビジター
センターでの話では、この工事は「99年夏のシーズン内には完成*しない*かも
しれない」とのこと。要事前確認です。

!警告!  熊の縄張りです。単独行動はさけましょう。入山者名簿を見ると、入
        山目的の多くが「ヒグマ生態調査」だという場所です。
 
 峠から入り口まで往復2時間強、入口から羅臼湖までが往復2時間程度です。
ちょうど一日コースなので、天気が良い時を狙って行ってみるといいかもしれ
ません。途中の道は山登りというほどの勾配はありませんが、上ったり下った
り飛んでみたり用心して歩いてみたりと忙しい道です。問題は道の質。道の大
半は湿地状態で、長靴を履いていればOKというものではありません。倒木や
根を足場にして歩きますが、油断すると長靴ごと泥の中へ...。
 羅臼湖に着くまでは、1沼〜5沼を順に過ぎます。羅臼湖は突然広い視野での
どかな風景と共に現れます。辺りが湿地で、以前は座る場所もなかったのです
が、木道の端が広くなった場所が作られ、ゆっくり腰を下ろしてお弁当を食べ
ることができるようになりました。夏は蚊などの虫が多いので、暑くても皮膚
の露出を少なくすることが必要になります。

[知床岬]
知床半島の先端です。もちろん道はありません。一面の笹原が広がり、人がほ
とんど来ない岬周辺は雄大で、非常に気持ちいい所だと聞きます。岬の手前4km
ほどの所(赤岩)に昆布漁の番屋が3軒ありますし、燈台近くには知床岬の碑も
ありますので完全な無人というイメージではありませんが、滅多に行けない場
所には違いありません。
  さて、知床岬へどうしても行きたい人へ。手段は二つあります。

・歩いて行く

!危険!  ぶっつけ本番は命を捨てるようなものです。単独行動もさけて。

毎年、羅臼側の半島東岸を歩いて行く人がいます。宇登呂側は断崖絶壁が続く
ためほぼ不可能。羅臼岳、硫黄山から尾根を縦走するコースも、相当な登山の
経験が無いと難しいでしょう。
  
  どうしてもという人は、まず羅臼側の道の終点にある食堂「熊の穴」のご主
人に相談してみましょう。(後述レポート参照)どの程度困難か、自分に可能
かどうか、などのアドバイスを受けられると思います。ぶっつけ本番だけはや
めて下さいね。
  ただし、海岸線を歩いて行くと言ってもそこには原生林あり崖登りあり。帰
りに疲れが出て崖から落ち、背骨を折ってしまった人もいます。片道約20km
で、早い人でも二日、通常は二泊三日かかるとの事です。道標も無く、熊の縄
張りの中を歩くわけです。干潮でないと通れない所が2箇所あります。野営す
る場所も選ばなくてはなりません。登山経験と装備のしっかりした人が、十分
な情報を入手した上でようやく可能になるのだと思って下さい。

       ----------------ML会員Uさんのレポート-------------------
1998年4月30日に相泊温泉に入った際に「熊の穴」(本物の熊の巣ではなく、
ラーメン屋兼民宿の屋号です)を覗いてたら、「釣船、撮影船あります」の看
板がありました。ご主人に突撃取材の結果、
  - 相泊〜知床岬沖の釣り、冬期のオジロワシ、アザラシなどの撮
    影が可能
  - 夏は知床岬近辺に朝上陸し、夕方迎えに来る事も可能(釣りや
    熊撮影目的??)
  - 天気次第なので、波、風があると船は出せない
  - 料金はうる覚えなのですが、2〜3万円で定員4人程度
この「熊の穴」の船は漁船ではなく、交通船としての許可(?)があるので人を
乗せて着岸できるが自主規制で「知床岬」には上陸せず、岬近くには上陸させ
てくれるとのことです。(言葉のあやと申しましょうか、本音と建前か?)
     --------------------------------------------------------

 [定期観光バス]
  斜里バス(株)では、知床を巡る定期観光バスを運行しています。6月上旬から
10月中旬までです。各ポイントの停車時間は若干短いのですが、自前の交通手
段をもっていない人が主な見どころを回るには非常に便利です。例えばカムイ
ワッカ湯の滝では、湯舟を往復するくらいの時間はあります。急げば入浴も可
能です。
  1996年は、以下の3路線が運行されました(時刻表より)。
    ・知床ロマンふれあい号I  2670円
    ・知床ロマンふれあい号II 1570円
    ・夜の大自然号           1600円(要予約)
  例えば知床ロマンふれあい号Iは、「宇登呂〜知床峠〜カムイワッカ湯の滝〜
知床五湖〜宇登呂」を4時間半ほどで回ります。斜里バス(01522-3-3145)まで。


6. 食事処など

[海馬屋(とどや)たかさご](01538-8-1181) 羅臼町幌萌町627番地

  高砂食堂という名で羅臼の町の真ん中にありましたが、最近、移転しました。
羅臼市街より15分ほど標津方面へ進んだ「羅臼自然と緑の村」というところの
ふるさと体験実習館内にあります。親父さんが自分で銃を撃って捕ってきたト
ドの肉を食わせてくれる店です。トドの陶板焼き定食が1200円、ホッケ定食
1200円、鹿肉定食1500円。それぞれつぶ貝もついていて納得です。(1998年
7月)。 前の店の時にはルイベ(凍った刺身)も1000円でありましたが今はどう
でしょうか。  
 隣はとてもきれいな無料のキャンプ場なので、遅く着いてしまったライダー
などに人気です。

[熊の穴](01538-7-2063)
  羅臼側の道の終点(相泊)に「熊の穴」という店があります。熊肉の乗った熊
ラーメンやトドと鹿肉の馬鹿ラーメンなど、珍しいメニューもあります。営業
時間は8:00〜21:00です。裏にはライダーハウス「熊宿」も併設しています。
  徒歩で知床岬まで行きたいという人は、ご主人の木野本さん(旅人には「熊
頭」と呼ばれているらしい)に話を聞くと良いでしょう。近くに民家が無く、
冬の除雪地域から外されているため、冬には羅臼の街で「さっちゃん食堂」を
営業しているそうです。(1994年以前)

[ボンズホーム](01522-4-2271)
  宇登呂温泉バス停近くの民宿で、喫茶室も営業しています。
  食事は結構美味しいとの報告を受けています。ポテトグラタンがほくほくし
て美味しいとか。他にじゃがいものプリン、スイートポテト、レアチーズケー
キ、煮込5日カレーなどがあります。じゃがいもの発送販売や、「斜里窯」(焼
物)の直売もしているということです。
  レンタサイクル、レンタバイク(6月〜9月)などの貸出も行っています。レン
タサイクルは普通車一日1500円、MTB一日2000円レンタバイク(スクーター)
は1時間まで1000円以後30分毎450円(1995年6月現在)
  知床岬往復の自然観察船の受付もしています。[海から知床を見る]の項を参
照して下さい。

[一休屋](01522-4-2557)
  宇登呂温泉バス停近くの食堂でライダー、チャリダー、YH会員は1割引。
     --------------------------------------------------------
  鮭親子丼は鮭のルイベとイクラ醤油漬けが丼を覆ってるもの。美味。(^^)珍
味「めふん塩辛」は鮭の腎臓(中骨の下に付いている赤黒い臓器)を塩に漬けた
もの。メスは栄養を卵にとられて腎臓がほとんどなくなってしまうため、オス
からとる。杯ほどの器に少しだけ供されたものは何匹もの鮭から採れたものだ
そうだ。(1995年10月)
     --------------------------------------------------------
  ハモ丼:ウナギのお化けみたいなのがご飯にのっかってきた。どうやらカラス
ハモなる魚で独特の味わい。(1994年以前)
     --------------------------------------------------------
  店の雰囲気も良く量も味も満足。(1995年8月)
     --------------------------------------------------------
などの報告が寄せられています。

[くまのや](01522-4-2971)
  宇登呂の郵便局前にある食堂。有名らしい。うにラーメン(1200円)が旨かっ
たとの話を聞きました。(1994年以前)

6. 宿

[知床岩尾別YH](01522-4-2311)
  宇登呂の先の方にあります。羅臼岳登山口に当たる岩尾別温泉の近くにあり
ますので、宇登呂側の知床の奥の方へ行くには非常に便利な宿です。シーズン
には、YHに泊まった人の中で羅臼岳登山のツアーが組まれる事も多いので、
初心者だけど山には登ってみたい人にはお勧めです。ここのノートからは旅人
が集めた生の情報が得られます。
  YHの隣りに水産庁鮭鱒孵化場ががあり、孵化場の中にオホーツク海の海岸(岩
尾別海岸)があります。そこは砂利の海岸です。知床の中でこのような海岸(断
崖でない広い場所)はあまりありません(ここだけかも?)そこから見る夕日は最
高にきれいなのです。(思わす夕日に向って走ってしまうかもしれません)ただ
夏のシーズン中は水平線上に雲がかかってなかなか見ることが出来ません。(夕
日見たさで連泊する私)ここは水産庁の敷地なのでいつでもだれでも入れるわけ
ではありません(許可が必要です:勝手にはいると後から来る旅人が入れなくな
るかもしれません)。泊る機会があったら早々に夕食を済ませて夕日ツアーに参
加しましょう。運が良ければきっと心に残る夕日が見られるでしょう。
 冬期間も12月より営業していますので、1999〜2000年冬期については直接
YHに問い合せて下さい。ここを起点としたツアーについては[2-1-3]「山を歩
く」にて収録しています。

 [知床夕日のあたる家YH](01522-4-2034)
  宇登呂の町の小高い丘の上にあります。夕日が非常にきれいに見える場所に
あって、天気のいい日は最高です。以前ゲストハウスの時もありました。
  1996年版YHハンドブックにはツアー等の記載がありますが、「ミーティン
グもツアーもなくなって、部屋が奇麗で、大きな風呂のあるYHって感じでし
た。(1995年2月)」との報告もあります。ツアー等に行きたい場合は事前に問
い合わせた方が良いでしょう。(追加情報募集中!)

 [ラウスYH](01538-7-2145)
  羅臼側に唯一あるYH。シーズンオフには、森下旅館の部屋に泊まるように
なっていましたが、火災で焼失したようです。

 [ボンズホーム](01522-4-2271)
  宇登呂温泉バス停近くにある民宿です。自然観察船の受付や、レンタバイク、
レンタサイクル、喫茶室なども営業しています([食事処]の項参照)。
  ここはいわゆる「とほ民宿」ですが、いろんな事をやっていますね。
  民宿料金は7月20日〜8月31日は一泊朝食付3700円、それ以外の期間は一泊二
食付4500円です(1996年6月)。男女別相部屋、モットーはサービスゼロ(放任主
義)で、旅の手伝いはするが、お節介はしないとの事です。

[ホテル地の涯](01522-4-2331,fax.01522-4-2280)
  岩尾別YHの先で右へ分かれ、更に4km走った所にある温泉ホテル(「岩尾
別温泉」の項参照)。下記の木下小屋と同様に、羅臼岳登山に便利ですが、ホテ
ルなのでうっかりしていると出発が遅くなってしまいます。

[木下小屋](01522-4-2824)
  ホテル地の涯の裏にある山小屋。羅臼岳登山口にあるので、早朝に出発して
羅臼岳に登るのに便利です。あくまで山小屋ですから、素泊まり・相部屋・寝
具と食事は各自で用意、です。一泊1500円(1994年)で、要予約。空いていれ
ば飛び込みでも可ですが、できれば予約しましょう。 なお、周辺はキャンプ禁
止です。

[知床観光ホテル](01538-7-2181)
  一泊二食7500円(1994年7月)で24時間温泉OK。建物は古いものの奇麗だ
という話を聞きます。食事については、通常料金でも立派という話と、味はペ
ケで評価しないという話を両方聞きました。つまり意見が分かれています。季
節や混み具合によって当たりはずれがあるのかもしれませんね(追加情報募集
中!)。時期によって値段も違うかもしれませんので確認して下さい。羅臼の街
と熊の湯の間あたりにあります。

[羅臼第一ホテル](01538-7-2259)
  (1995年8月お盆直前)知床観光ホテルの隣にある「羅臼第一ホテル」に泊ま
りました。1泊2食で12000円(季節料金が特別割増し、JTBの旅行券を使用)
でした。平屋で部屋は広くて奇麗でした。食事も夕食は部屋食(朝食はロビーの
脇の広間)で、ちょっと冷め気味のものもありましたが、結構おいしく量もあり
ました。(たらばガニが半分ついてました)お風呂は24H入浴可能で、男女別の
内風呂の他に混浴露天がひとつあります。この露天は覗いてみたのですが、女
性一人ではいる勇気はなく、入れませんでした。^^;;  星空の下だとかなり壮
快そうでした。女性の風呂はきれいな普通のホテルタイプですが、内湯に続く
露天と表示された風呂は覆いで囲われたトリカゴみたいで、空も見えず価値な
しでした。平屋だから足の不自由な人にも便利かもしれません。場所は熊の湯
のそばです。

[旅人の宿 とおまわり](01538-7-2808)
  羅臼にある民宿です。原則男女別相部屋、1泊2食 4500円(1998年)で、魚
が美味しいとのこと。以下のような報告が寄せられています。
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連泊すると3泊目から割引きになります。あと、宿では350mlの缶ビールが
200円と異様に良心的 :-)です。
#  ただしガキがうるさい :-(。(1998年)
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  10年以上前に、霧多布里でヘルパーをやって、北海道にはまってしまい、羅
臼で漁師になったという主人が、羅臼の魚をいやというほど出してくれます。
現在は、夕食にはメンメ(東京では居酒屋で2000円以上はする高級魚)をはじめ
とし、刺身、フライなど魚がたくさんでてきます。夜のコンパタイムにはカニ
までだされて、まいりました。商売気のない主人ですが、旅の話は大好きで盛
り上がります。(現在のところ、とほには載っていません)
(1996年10月)
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  私が泊まった時は、1日目がフライで、2日目がちゃんちゃん焼きでした。普
通はフライ、鍋、ちゃんちゃん焼きの順でローテーションするそうです。
1日目
メンメ(キンキ)を煮たもの、1人1匹。色々な種類のフライ、イカ、鮭のルイベ
など6種類の刺身、
2日目
鱈、ホッケ、鮭のちゃんちゃん焼き、メンメ、鱈、イカ、鮭のルイベなど6種
類の刺身、(泊まり客が釣って来た)チカの刺身、フライ
  2日とも御飯(米)なし(頼めば出してくれますが)にして、魚だけを食べたので
すが、「もう限界」という感じでした。別に無理して食うこともないのですが、
あれだけうまいと…。
 2日目は、夕飯前にちょっと走ったのですが、無駄な努力だったようです。
  夜のコンパタイムのカニについては、「夕飯にカニをだすと、それだけで豪華
に見えてしまうので、不本意だ。他にも美味しい魚(特にメンメ)があるので、
それを食べて欲しい」とおっしゃってました。
(1996年10月)
     --------------------------------------------------------
[その他、宇登呂の宿]
  宇登呂は観光地なので、ホテル、民宿などは沢山あります。現地で探す場合
は、宇登呂バスターミナル内に観光案内所があります。

8. 雑談

[熊に出会ってしまったら?]
  知床はその多くが熊の生息地です。民家や通常の観光地と熊の縄張りの距離
が近い事では道内でも随一でしょう。熊は、出会わないようにするのが第一で
あり、熊が出そうな場所や状況には近寄らないのが肝心。それでも出会ってし
まったら? 
[2-2-2] 動物の章に対処法を紹介してあります。知床の自然に分け入る前に必
ず読んで下さい。
  「山中ではくれぐれも注意して、においで寄ってくるから煮炊きはにおいが
着かないようにテント内ではやらずちょっと離れてやって、食べ物は袋に入れ
てにおいが外にもれないように」。ちょっと強調された面もありますが、この
くらいの気持ちでいましょう。

[イベント]
知床に夏を告げるイベント「知床開き」が毎年6月に行われます。
以下は1998年の内容です。
20日(土)前夜祭
17:00〜17:30 海開き式典
17:30〜18:00 郷土芸能「知床いぶき樽」
17:00〜18:30 第2回ドーンと来い知床「ヤングフェスティバル」
18:30〜20:00 第17回町内対抗綱引き大会 第8回女子綱引き大会
20:00〜20:30 知床ウィンド・アンサンブル演奏会
20:30〜21:00 知床大打上げ花火大会
17:00〜21:00 魚の城下町・らうす 特産品セール

21日(日)当日祭
09:00〜09:40 巡視船体験航海 受付
10:00〜       巡視船体験航海 航海
12:00〜12:40 巡視船体験航海 受付
13:00〜       巡視船体験航海 航海
10:00〜11:10 知床千人踊り
10:30〜11:35 吹奏楽パレード・マーチングバンド
11:50〜12:20 郷土芸能「知床いぶき樽
13:00〜15:00 「NHK・FMミュージックファクトリー」公開録音
09:00〜15:00 魚の城下町・らうす 特産品セール

 魚の城下町・らうす 特産品セール
 ・漁業協同組合 「特産品販売市」
 ・漁協ウニ部会 「殻付きウニ」セール
 ・漁協青年部  「知床焼き物」セール
 ・漁協青年部  「知床鮮魚の特売」
 ・漁協婦人部  「てんぷらカマボコ」セール
 ・観光協会   「知床海産土産品市」
 ・観光協会   「知床チャリティ千人鍋」
 ・牛乳無料サービス
 ・にっこりスタンプフェスティバル
 ・知床模擬店

その他、羅臼町の情報は、羅臼町のホームページ
 http://www.muratasystem.or.jp/~rausu/
へ。「知床らうす通信」というメールによる情報も、
 rausu@muratasystem.or.jp
から申し込めば配信してくれます。

[鮭の遡上]
9月辺りのシーズンになると、道内の多くの川にアキアジ(鮭)が遡上してきます。
鮭の人工孵化を行っている所では加工付近で多くの鮭が捕らえられて卵を採取
されますが、小さな川では鮭の遡上で川が黒っぽく染まっているのも見る事が
できます。羅臼町などは市町村としては最も河川の多い町だそうで、多くの川
で遡上する鮭がよく見えます。

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