北海道に移り住む      (version 6.01 last updated 2001.6.6 by hash@alles.or.jp)


0.はじめに
  こんなML(「ほっかいどガイドML」のことです)に参加したり、何度も何度も
道内を旅して回っていたせいでしょうか、筆者の友人は北海道に移住した人、
しようとしている人が大半となってしまいました。かく言う筆者も1997年の3月
にこちらに移住してきました。

  読者の皆さんの中にも

  ・初めて北海道に来た時の印象が忘れられなくて
  ・何度も来るうちにその魅力にとりつかれて
  ・生活費の安さ、住環境の良さなどの総合的な暮らしやすさにひかれて

  などの理由から北海道への移住を考えておられる方も多いことでしょう。
私たちの体験が少しでもそのお役に立てば幸いです。

1.仕事を探す
  世間では、失業率が4%だ、戦後最大の不景気だと大騒ぎです。こんな状況です
から、求人状況は厳しいものです。更に拓銀をはじめとして道内の企業には倒産
が相次いでいます。1997年の暮れから98年春にかけては、企業倒産が新聞紙面を
賑わさない日がないと言っても過言ではありませんでした。

  「北海道に住みたいけど仕事がねぇ」という話を良く聞きます。先のような状
況だし、やっぱり移住は無理かなぁ、と思う人も多いでしょう。事実、道内の有
効求人倍率は全国平均を下回っています。当然全体のパイは小さくなっています
が...

  ・業種によってはそれほど不景気でないところもある。
  ・北海道には大企業が少ないので、新卒者を大量に自前で育てる余力のある会
    社が少なく、即戦力の人材を確保するため、中途採用の意欲が高い。

  ということで、手に職を持った人には結構求人自体はあるのです。

  例えば筆者は、ソフトウェア業界に勤務していますが、「住まいる・北海道」
定住促進センター(*1 後述)に登録したところ、なんだかやたらと企業側からの引
き合いが来てびっくりしたものです。

*1 現在は「北海道IJU(移住)情報センター」と改称しています。

  もし、1年くらい遊んでも暮らせる蓄えと道内に人づてがあれば、とにかく引っ
越してしまって仕事を探すという手もあるようです。この場合部屋探しで少し苦
労することもあるようですが。

  北海道支店がある会社で働いていても、よほどの僥倖でもなければ、転勤など
は望むべくはありません。移住を希望するならば具体的な行動をとりましょう。
例えば、以下のような方法があります。

1.1.北海道IJU(移住)情報センター
  道内の経済団体や行政機関など官民一体となって設立されたもので、道内企業
と求職者間の情報提供を行っています。求職する人はセンターに登録(無料)しま
す。以後定期的に求人情報やフェアの案内などが送られてきます。これはと思う
企業があれば、こちらから面接の申し込みをしたり、逆に企業の方から面接希望
が届いたりします。

  手紙や電子メール、実際に面接したりして合意に達すれば晴れて移住という運
びになります。ただ、面接のために北海道へ行くのは金銭的にも時間的にも苦し
いという方には(筆者のように遊びついでにと言うのもいますが)、東京のセンタ
ーでテレビ面接が利用できます。このテレビ面接、なかなか侮りがたく、スピー
ドもそこそこ早く、画像もまぁまぁでした。それだけにかなりお金がかかるらし
いです。どこで負担しているのかは聞きましたが忘れました。大阪−札幌の航空
券代が高いと思わなかったくらいなので、相当の値段だったことは確かですが。

  参考までに筆者の移住への道のりを示しておきます。

  '96.5  登録
      6  センターより、最初の求人案内が届く
      7  前職場に退職の意思表示
      8  就職活動始める
         東京で就職フェアに参加
      9  東京でテレビ面接
     10  札幌に会社訪問
         内定をもらう
     12  前職退職
  '97.3  札幌に引っ越し
      4  現職就職

  こうして書いてみると、スムーズに進んだように見えます。実際多くの企業か
らオファーがきたので、探すのにはそれほど困難はありませんでした。が、やは
り札幌と京都は遠く、電話で頻繁に連絡を取るのには躊躇しました。ただ、日々
の連絡には電子メールを用いた(逆に電子メールで連絡を取れることが条件の一
つだった)ため、それほどの困難は感じませんでした。

  その後の情勢から見て、電子メールでのやりとりは更にやりやすくなってこと
だろうとは思います。インターネットでの職探しというとなんだかすごいことの
ように思えますが、実際にはそれほどのこともないものですよ。

1.2.「私設 北海道開拓使の会」
  1994年の6月に、移住希望者の受け皿を作る目的で、道内経済界の関係者らに
よって設立されました。その後、移住者自身による(ボランティア)運営に移行し
ています。
  2000年末現在、会員(個人、家族、企業)は約2200組。移住者も1割以上を占めて
います。主な活動として、
  ・移住希望者にホームステイなどで北海道の暮らしを体験してもらうツアーを
    年二会実施する
  ・東京と関西で移住を希望する人たちのために集会を開く
  ・移住してきた人々の札幌集会を企画する
  ・移住希望の相談を電話などで受け付ける
  ・会報を年六回発行し、ホームページでも全国に情報発信する
などが行われています。

1.3.「百年遅れの屯田兵」
  1.2「私設 北海道開拓使の会」の兄貴分的存在で、道内における移住者支援
活動のルーツと言える組織です。
  十勝を活動の中心とし、「私設 北海道開拓使の会」と同様の活動を行ってい
るようです。「移住するときに他人の世話になった人は、その恩をこれから来
る人に返せばいい」というのがこの会の会則だそうです。

1.4.その他
  以上挙げた以外にも、いろいろな私設団体や市町村などがいろいろな移住者
支援活動を行っています。「どうしても移住するんだ」という方はあきらめず
にいろいろと調べてみて下さい。

  牧場やスキー場に住み込みのバイトとして渡道し、そのまま移住とか、旅の
途中でお金が無くなって民宿で皿洗いしているあいだにそのまま就職とか、ユ
ースホステルのヘルパーをやってたけど、そのまま地元の企業に就職とか...
結構なんとかなるものです。

#ま、筆者の周りにそういう人間が多い(笑)というのもありますが...

  以下、参考までにポインタを示しておきます。

北海道庁「移住情報」のページ
 http://www.pref.hokkaido.jp/skikaku/sk-tstcs/iju.html
私設 北海道開拓使の会
 http://www.kaitaku.gr.jp/
ハローワーク札幌
 http://www.hellowork-sapporo.go.jp/index.htm
ハローワークおたる
 http://www.tokeidai.co.jp/hw-otaru/
雇用促進事業団・北海道雇用促進センター
 http://www.epc.go.jp/hokkaido/

移住や北海道での就職情報:

北海道IJU(移住)情報センター
  〒100-0006
    東京都千代田区有楽町2丁目10番1号
    東京交通会館6階 北海道ビジネスプラザ
    TEL 03-3217-0641 FAX 03-3217-0346 
北海道大阪事務所「人材誘致情報コーナー」
  〒530-0001
    大阪市北区梅田1丁目3番1-900
    大阪駅前第1ビル9階  
    TEL 06-6344-4151 
北海道名古屋事務所「人材誘致情報コーナー」
  〒460-0008
    名古屋市中区栄4丁目1−1
    中部日本ビル8階
    TEL 052-263-1360
札幌人材銀行「人材誘致コーナー」
  〒060-0004
    札幌市中央区北4条西5丁目1-4
    三井生命札幌共同ビル5F
    TEL 011-233-0101
北海道福祉人材情報センター 
  〒060-0002
    札幌市中央区北2条西7丁目 かでる2−7
    北海道立社会福祉総合センター
    TEL 011-717-6662
北海道林業労働力育成センター 
  〒060-0002
    札幌市北区北2条西19丁目
    TEL 011-621-4293
北海道農業青年人材銀行(グリーンバンク)
  〒060-0003
    札幌市中央区北3条西7丁目
    道庁別館
    TEL 011-281-6761
北海道農業共同組合中央会
  〒060-0004
    札幌市中央区北4条西1丁目
    TEL 011-231-2111(内線4116)
北海道住宅供給公社
  〒060-0003
    札幌市中央区北3条西7丁目
    緑苑ビル
    賃貸住宅管理課・分譲住宅販売課
    http://www.lilac.co.jp/hokkaido-jkk/
    TEL 011-261-9271
札幌学生職業センター 
  〒060-0007
    札幌市北区北7条西5丁目
    札幌千代田ビル2階
    http://www.hellowork-sapporo.go.jp/gakusei/index.htm
    TEL 011-726-5631

ハローワーク(職業安定所):
札幌 札幌市中央区南10条西14丁目 011-562-0101
北三条 札幌市中央区北3条西3丁目NORTH33ビル4F 011-242-8689
札幌東 札幌市豊平区月寒東1条3丁目562 011-853-0101
千歳 千歳市東雲町3丁目2-1 0123-24-2177
江別 江別市4条1丁目 011-382-2377
札幌北 札幌東区北16条東4丁目 011-743-8609
函館 函館市新川町25-18函館地方合同庁舎 0138-26-0735
江差 桧山郡江差町字姥神町167江差地方合同庁舎 01395-2-0178
八雲 山越郡八雲町東町232 01376-2-2509
旭川 旭川市春光町10-58 0166-51-0176
富良野 富良野市弥生町2-41 0167-23-4121
帯広 帯広市西1条南1丁目11 0155-23-8296
池田 中川郡池田町西2条2丁目 01557-2-2561
北見 北見市青葉町6-8北見地方合同庁舎 0157-23-6251
遠軽 紋別郡遠軽町1条通り北4丁目 01584-2-2779
美幌 網走郡美幌町仲町1丁目44 01527-3-3555
紋別 紋別市南ヶ丘町7丁目72-5 01582-3-5291
小樽 小樽市色内1丁目10-15 0134-32-8689
余市 余市郡余市町大川町4丁目77 0135-22-3288
滝川 滝川市緑町2丁目5-1 0125-22-3416
砂川 砂川市西6条北5丁目1 0125-54-3147
深川 深川市4条16-26 0164-23-2148
釧路 釧路市富士見3丁目2-3 0154-41-1201
室蘭 室蘭市海岸町1丁目20-28 0143-22-8689
伊達 伊達市網代町5-4 0142-23-2034
岩見沢 岩見沢市5条東15丁目岩見沢地方合同庁舎 0126-22-3450
美唄 美唄市東7条北1丁目 01266-3-2195
稚内 稚内末広4丁目1-25 0162-34-1120
岩内 岩内郡岩内町字相生199-1 0135-62-1262
倶知安 虻田郡倶知安町北3条東4丁目 0136-22-0248
留萌 留萌市大町2丁目12留萌地方合同庁舎 0164-42-0388
名寄 名寄市西5条南10丁目2-2 01654-2-4326
士別 士別市東4条3丁目 01652-3-3138
浦河 浦河郡浦河町堺町東1丁目5-21 01462-2-3036
静内 静内郡静内町山手町5丁目10-8 01464-2-1734
夕張 夕張市本町5丁目5 01235-2-4411
網走 網走市大曲1丁目1-3 0152-44-6287
苫小牧 苫小牧市港町1丁目6苫小牧港湾合同庁舎 0144-32-5221
根室 根室市幸町1丁目8 01532-3-2161
中標津 標津郡中標津町東8条3丁目1 01537-2-2544 

2.住居を探す
  北海道の田舎では土地はタダ(同然)です。さすがに北の大都市札幌近郊では、
そこまでのことはありませんが、それでも三大都市圏に比べると格段に安いで
す。「狭い・高い・遠い」住宅に苦しむことはまずないと考えて良いでしょう。

  なお、(札幌近郊の)住居についての詳しい情報は、[2-7-4]北海道に暮らす、
にありますので、そちらをご参照下さい。

3.賃金水準はどのくらい
  北海道の賃金水準は、全国平均よりもかなり低くなっています。まぁ、これは
北海道に限った話ではないのですが、大体2割減くらいが目安といわれています。
ちなみに筆者の場合は条件が良かったのか、1割ほどで済みました。

  まぁ、いくら実入りが増えてその分出て行くのでは意味がありません。
  逆に減収でも生活費がそれ以上に減ればよいわけです。

4.生活費はどうなんだろう
  農産物の豊富な北海道だから、生鮮食料品はさぞ安いだろうと思われがち
ですが、実際のところはそれほどでもありません。まぁ、シーズンに海辺の
町の魚屋を覗くと、鮭がタダみたいな値段で売られたりしてますが、これは
日本全国どこでも同じですから...

  てなわけで、期待をしていた皆さん残念でした。物価は他の都市とほとん
ど変わりません。まぁ、強いて言えば、店が多いところは競争が激しいので
物価は安くなります。

  新札幌はなかなかいいですよ(笑)。

5.遊興費はかかるのかな
  さて、休日だ。海へ行こうか、山へ行こうか、でも、途中の渋滞を思えば
おっくうです。目的地に着いてもやはり混んでるしで、都会に住んでいると
休日のレジャーも大変ですね。

  さて、北海道ではよほど場所を選ばない限り、観光地が混雑することはあ
りません。まぁ、札幌雪祭りだとか、紅葉の時期の大雪とか、どうしても見
たいと言う方を敢えて止めることはしませんが、紅葉ならニセコあたりでも
十分奇麗だし、他にも無名ながら景色の奇麗なところって多いものですよ。

  まぁ、このガイドのこの章を読んでいる人にとっては、週末に気軽に道内
を歩き回れるだけで十分だと言う方も多いでしょうね(笑)

6.おわりに
  ということで、とめどもなく書き連ねてきましたが、参考になりましたで
しょうか。

  筆者自身は、移住を決心してからは比較的すんなりと完了しましたが、実
際は職探しで苦労したり、移住を断念した友人の話もよく耳にします。また、
筆者のような北海道フリークが書いた文章は、どうしても北海道礼賛になっ
てしまいがちです。現在の生活が安定したものであればなおさらのこと、一
歩退いた冷静な目でリスクを検討する必要があるでしょう。

#失敗したら、自分で責任を取らなくてはいけませんからねぇ。

  それでも移住したいといういう方には微力ながら(移住経験のご紹介といっ
た形で)お手伝いをさせていただけるかもしれません。

  もし、移住が成功した暁には、改定版にて紹介させていただきたく思いま
すので、是非「ほっかいどガイドML」にご一報下さい。

#ガイドMLに参加して、この章を書き上げるというのも大歓迎です(笑)

  一人でも多くの皆様の夢が実現しますようにお祈りしております。

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