[2-7-2]  映像に登場した北海道 (6.00)

 この章では、映画/TVドラマ/ミュージックビデオの映像の中に登場する「北
海道の風景」を集めてみました。読者の皆さんが北海道各地を訪れて今回紹介
した映像作品の場面を思い出した時に、「登場人物がどこからか現れるような」
「自分が登場人物になったような」、ちょっと不思議な世界に浸れればと思っ
ています。
 ビデオ化作品が多い映画は、古い作品も載せています。また、古いTVドラマ
は現在では見られないものが多いですが、寄せられた情報はなるべく載せるよ
うにしました。さらに、第6版からはミュージックビデオに関する情報も追加
しました。
  なお、ここに書かれた風景以外に「素晴らしい風景が出ている映像作品」を
御存知でしたら、ぜひ「ほっかいどガイド」まで御紹介下さい。皆さんの情報
をお待ちしております。


1.映画

  映画に関しては、題名の50音順に各作品を紹介します。

1.1  網走番外地 シリーズ[監督:石井輝男、降旗康男 他  主演:高倉健]

  網走刑務所を一躍観光地にしてしまった高倉健主演の東映ヤクザ映画で、こ
のテーマでは草分け的存在の映画。昭和40年代に何本かシリーズで作られた映
画で、当時は映画館の2階席が人の重みで崩れそうになったとか。
  題名の通り網走の刑務所が舞台の映画であるが、ロケは層雲峡周辺も多いと
のこと。東大雪の大雪牧場がよく使われていたそうで、雪の中の決闘や高倉健
が馬そりに引きずられるシーン等がここで撮影されている。ちなみに、ロケで
の宿泊にはいつも層雲峡のホテル大雪が利用されていたとのことである。

(1) 第1作  網走番外地[監督:石井輝男  公開年月日:1965年4月18日]
  他の組の親分を斬り殺したことで網走に入所した橘真一(字は不明、高倉健)。
その雑居房は殺人、恐喝などの強者揃い。真面目に服役する橘は仮釈放も間近
となったが、外役中に脱獄に巻き込まれ雪の山野を逃走することに…。
  地の果てのような小さな網走駅は作り物。当時も今のように大きな駅だった。
太い木の格子の雑居房や、官吏の笛の合図と共に入る風呂(浴槽に浸るのが○
分間、体を洗うのが○分間と決められている)は現在廃止されているそうだが、
博物館網走監獄で見ることができる。

(2) 第2作  続・網走番外地[監督:石井輝男  公開年月日:1965年7月10日]
  網走から務所帰りの橘真一。青函連絡船に乗って青森へ着くが、函館でのダ
イヤ強盗殺人事件に絡んだ殺人事件が連絡船内で発生し、容疑をかけられてし
まう。逃げながら真犯人を追いつめる橘…。
  廃止された青函連絡船の昼間の便でロケが行われており、2等椅子席が懐か
しい。

(3) 第4作  網走番外地・北海編[監督:石井輝男  公開年月日:1965年12月31
    日]
  網走刑務所を仮釈放になった橘真一。ひょんなことから冬の道東のトラック
輸送をすることに。ハリウッド映画「駅馬車」の北海道版。
  ペンケセップという架空の町が登場するが、場所は不明。雰囲気的に遠軽や
北見近辺をイメージしている。

  なお、本シリーズにおける上記3作以外の簡単なデータを以下に示す。

                 [題名]                  [監督]   [公開年/月/日]
第 3作 網走番外地・望郷編               石井輝男    1965/10/31
第 5作 網走番外地・荒野の対決           石井輝男    1966/ 4/23
第 6作 網走番外地 南国の対決            石井輝男    1966/ 8/13
第 7作 網走番外地 大雪原の対決          石井輝男    1966/12/30
第 8作 網走番外地 決斗零下30度          石井輝男    1967/ 4/20
第 9作 網走番外地 悪への挑戦            石井輝男    1967/ 8/12
第10作 網走番外地 吹雪の斗争            石井輝男    1967/12/23
第11作 新網走番外地                     マキノ雅弘  1968/12/28
第12作 新網走番外地・流人岬の決斗       降旗康男    1969/ 8/13
第13作 新網走番外地 さいはての流れ者    佐伯清      1969/12/27
第14作 新網走番外地 大森林の決斗        降旗康男    1970/ 8/14
第15作 新網走番外地 吹雪のはぐれ娘      降旗康男    1970/12/30
第16作 新網走番外地 嵐を呼ぶ知床岬      降旗康男    1971/ 8/13
第17作 新網走番外地 吹雪の大脱走        降旗康男    1971/12/29
第18作 新網走番外地 嵐を呼ぶダンプ仁義  降旗康男    1972/ 8/12


1.2  アンモナイトのささやきを聞いた
  [監督:山田勇男  主演:サエキけんぞう  公開年:1992年]

  北海道出身・在住のアーティストである山田監督の劇場用長編デビュー作。
メインスタッフを監督の札幌における映画仲間で固め、オール北海道ロケで撮
られた映像ファンタジー。物語は主人公である兄と病床の妹の絆を5つの夢の
場面を用いて描いていくものであり、セリフを用いず音楽のみで登場人物の感
情を表現したアート映画である。なお、1992年度のカンヌ国際映画祭批評家週
間に正式出品されている。
  幻想的な風景が背景として登場するが、パンフレットによるとロケ地として
「浦河」「北大理学部」「石狩町」「小樽市」「三笠市」「厚真町」「千歳市」
「定山渓谷」「余市市」が使われているとのことである。


1.3  居酒屋兆治
  [監督:降旗康男  主演:高倉健  公開年月日:1983年11月12日]

  函館で居酒屋を営む兆治(高倉健)と彼を囲む人達との人間模様。店は港の近
くにある設定で金森倉庫群が登場する。札幌すすきの界隈も登場する。東宝作
品。


1.4  いつかギラギラする日
  [監督:深作欣二  主演:萩原健一  公開年:1992年]

  アクション映画の巨匠深作監督が北海道を舞台に描いた銀行強盗もの。洞爺
湖畔にあるホテルの売上金強奪から始まり、その後の仲間割れと追跡劇が札幌、
室蘭、函館で演じられる。ショーケン、千葉真一、多岐川裕美、原田芳雄とい
うベテラン俳優と木村一八、荻野目慶子という若手俳優との対決シーンは邦画
としては、なかなかのもの。
  ちょっとクサイ場面もあるのだが、カーチェイスや銃撃戦は結構派手でドン
パチ映画好きにはお勧め。パンフレットによると「使用弾丸数…37,800発」
「総破壊車両数…126台」とのことである。


1.5  駅・STATION
  [監督:降旗康男  主演:高倉健  公開年:1981年]

  雄冬出身で札幌に勤務する警察官、三上(高倉健)のストイックな人生と、彼
を巡る女性、人間模様が描かれる名作。東映作品。駅を「出会いと別れの場」
として非常に印象的に使っており、この映画に惹かれて北海道に移住してしま
った人もいるぐらいである。以下、場面ごとに紹介をしていく。

・銭函駅
  映画が始まってまず登場するのが、銭函駅での妻直子(いしだあゆみ)との別
れの場面。雪の中、小樽方面から到着した列車に乗って直子は去っていく。デ
ッキから身を乗り出し、泣きながら笑顔を浮かべ敬礼するシーンは印象的であ
る。いしだあゆみの登場はこの数分だけであるが、この演技でこの年の日本映
画の女優の最高賞を取っている。
  また、銭函駅は検問中に犯人に射殺された三上の先輩刑事(大滝修治)の自宅
最寄り駅でもある。葬儀の後、三上は銭函駅から列車に乗る。この時も雪が積
もっていた。

・風待食堂、増毛ホテル
  逃走中の連続強姦殺人犯吉松五郎(根津甚八)の妹すず子(烏丸せつこ)が働い
ていたのが増毛の風待食堂。三上は通りを挟んで正面の増毛ホテルの2階に宿
をとって張り込みをする。
  風待食堂は増毛の多田商店をロケに借用し、増毛駅のそばに現存している。
(1996年夏時点)  増毛ホテルには日通増毛支店が使われ、映画通り多田商店の
対面にある。屋根の形がしゃれた建物であるが、1996年夏の調査では2階にあ
ったピアノ教室が移転していたそうで、ひょっとすると取り壊しが近いとも思
われる。

・上砂川駅
  吉松五郎がすず子に会いに上砂川駅に現れるという情報を得て、三上らが駅
周辺に張り込む。最終列車も終わった深夜、線路を歩いて五郎が現れ、一斉に
警官が駆け寄って取り押さえる。
  上砂川駅のあった函館本線の支線は廃止されてしまったが、駅は残されてい
る。

・増毛−雄冬間の連絡船
  三上が雄冬への帰省に何度も使っている。三上の老いた母親が雪の降る中、
雄冬港で船が出るのをずーっと見送る場面もあった。欠航で雄冬へ渡れず増毛
で足止めを食った三上がふらっと入ったのが、桐子(倍賞千恵子)の飲み屋であ
った。
  ところがこの連絡船、1990年?に廃止されてしまった。残念。浜益−増毛間
の国道231号が通年通行可能になったためである。「新雄冬丸」という70tぐら
いの小さな船であり筆者も乗ったが、あっと言う間に酔ってしまい必死にこら
えていた。

・雄冬神社
  雄冬の集落の高台にあったので間違いないと思われる。三上の妹(古手川祐
子)の結婚式が行われた。筆者が行った時はカラスがいっぱいで襲われそうに
なった。--;

・札幌豊平川東岸の上白石橋近く
  検問中の先輩(大滝修治)が犯人に銃殺された所。背景に鉄道が走っているこ
と、鉄橋のすぐ脇に道路が走っていることから、苗穂近くで豊平川にかかる鉄
橋と上白石橋を下流の北東方向から撮ったものと思われる。

・札幌の北海道拓殖銀行
  2人組の強盗がたてこもった場所。地下鉄の駅から地上に出た所にあった。
背景の山にスキー場が見える所なのだが、どこにある店舗であろうか?  なお、
拓銀は破綻して消滅したため、現在の店舗の看板は映画内のものとは変わって
いると思われる。

・網走の呼人神社(未確認)
  映画の中の設定では増毛近郊にあり、三上と桐子が初詣に訪れる。参道を線
路が横切る神社は珍しいので、呼人神社ではないかと推測される。

 この他にも、深川駅、札幌パルコ前、すすきの界隈などが登場する。


1.6  N45°
  [監督:祭主恭嗣    主演:遠藤憲一、広田玲央名  公開年:1995年
    監督:小峯隆生    主演:佐藤浩之              公開年: 同上
    監督:佐々木浩久  主演:草刈正雄、中島ひろ子  公開年: 同上
    監督:中嶋竹彦    主演:黒沼浩巳              公開年: 同上]

  「日本映画はつまらない」という意見に挑戦するために、WOWOW(日本衛星放
送)が制作を行っている短編映画集「J・MOVIE・WARSシリーズ」第2弾の内の一
本。北緯45度の架空の町を舞台に新人監督4人が競作した各作品約30分、計140
分の連作オムニバスである。
  1970年代の香り溢れる祭主監督のロードムービー「ワンダー・ラビッシュ」、
多彩な分野で活躍の小峯監督のガンアクション「パオさんとの復讐」、「ナチ
ュラル・ウーマン」でも注目された佐々木監督の近未来ウエスタン「情熱の荒
野」、ロッテルダム国際映画祭に正式出品された中嶋監督のサイキック・サス
ペンス「風は、どっちに吹いている」という4作品である。これらの作品は、
無国籍な内容が北海道の乾いた風景に合った佳作である。


1.7  男はつらいよ シリーズ[監督:山田洋次  主演:渥美清]

(1) 第5作 望郷編[公開年:1970年]
  寅が旅先で危篤と思ったおいちゃん車竜造(第1作〜第8作=森川信、第9作〜
13作=松村達雄、第14作=下条正巳)は無事だったが、世話になった札幌の政吉
親分(別名 弁天の親分=木田三千雄)が危篤。登(寅の舎弟=津坂匡章)と駆けつ
けるが…。
  マドンナは浦安の豆腐屋の娘 節子(長山藍子)。恋敵は後に高崎機関区へ移
った機関士(松山省二)。小樽の運河の場面もあった。

(2) 第11作 寅次郎忘れな草[公開年:1973年]
  北海道石北本線(?)夜汽車の中で涙する女性。リリー(浅丘ルリ子)との初の
出会いは夜汽車の中であった。網走の港でその生い立ちが自分に似ていること
で意気投合。しかし、堅気の暮らしに憧れたリリーこと松岡清子は、鮨屋の職
人(毒蝮三太夫)と結婚してしまうのだった…。網走で売っていたレコードも売
れ行きが悪かった。

(3) 第15作 寅次郎相合い傘[公開年:1975年]
  家出をしたサラリーマン兵頭(船越英二)と青森から珍道中。函館でリリー
(浅丘ルリ子)に再会し、長万部では駅構内に野宿。札幌へ出ると大通公園で万
年筆をバイ(露天で売ること)する。小樽では兵頭の初恋の人が喫茶店を営業し
ていた。些細な喧嘩でリリーとはここで、ばいばい。スクリーンには小樽の運
河などが映し出された。

(4) 第23作 翔んでる寅次郎[公開年:1979年]
  旅先の北海道支笏湖周辺。車の中で暴行されかかったひとみ(桃井かおり。
彼女は北海道へ来ると車でごたごたがあるのか?→「幸福の黄色いハンカチ」
参照)を危機一髪救い出し、最終的には東京柴又へ帰ってさくら(倍賞千恵子)
等とらやの面々と結婚式を開いてあげる。相手は田園調布のぼんぼん邦夫(布
施明)だ。なお、バイは杖浜神社でイタリー製ネクタイをさばいている。

(5) 第26作 寅次郎かもめ歌[公開年:1980年]
  江差でバイ(祭の時にスカーフを売っていた)をしていた寅さん。仲間の死で
奥尻島に焼香にかけつけた。残された一人娘のすみれ(伊藤蘭)の定時制高校進
学の夢を叶えるために、葛飾商業定時制に一緒に入学。(笑)  しかし、すみれ
の恋人が函館から上京。またも失恋に。奥尻の自然がとても美しく描かれてい
た。地震の前に作られた作品である。

(6) 第31作 旅と女と寅次郎[公開年:1983年]
  演歌スター京はるみ(都はるみ)との佐渡での出会いと柴又での悲しい別れが
主体。失恋して旅に出た寅さんが向かったのが北海道羊蹄山の夏祭り。ここで、
The End。

(7) 第33作 夜霧にむせぶ寅次郎[公開年:1984年]
  釧路市内の理髪店でフーテン風子(中原理恵)と知り合いに。一緒に旅したい
と訴える風子に「ちゃんと働いて結婚しろ」と言い含め、風子は根室に落ち着
く。この辺が「藤や」旅館(養老牛温泉)である。で、いろいろあって、結局、
風子は札幌で結婚式。ここでは諏訪家(倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆)と共に
出席する。バイは根室新緑祭でオルゴールを売った。
 朝日新聞 asahi.com 特集「追悼・渥美清さん」の記事には、
 (http://www.asahi.com/tora/toradanwa.html)
--(ここから引用)------------------------------------------------------
  北海道根室支庁中標津町の旅館業、藤林高英さん(48)は、北海道ロケの世話
をしたのが縁で、二十年ほど前から渥美清さんや山田洋次監督などと親交があ
る。「おれの葬儀は何もしないでくれ、そっとしてくれ」と渥美さんが以前語
ったのを覚えている。「実際、死に際はその通りになった。皆の前では寅さん
だったが、実体は質素な人だった。日本人の原点のような映画が亡くなるのは
さびしい」と振り返っている 。
--(ここまで引用)------------------------------------------------------
と書かれている。

(8) 第38作 知床旅情[公開年:1987年]
  知床で獣医をする偏屈で変わり者の順吉(三船敏郎)とスナックのママ悦子
(淡路恵子)の恋の手ほどき。東京から出戻りのりん子(竹下景子)との恋の騒動
は土地の若者に心を見抜かれておじゃん。北海道をあとにする。この作品はほ
とんどが北海道。最初の札幌大通公園での絵のバイから、屈斜路湖畔の川湯温
泉、そして知床旅情。順吉の愛の告白「好きで何が悪いか」は結構流行った…。
すまけいが演じる船長が知床の海に船を操った。雄大な自然がスクリーン一杯
に映し出された秀作であろう。


1.8  おろしや国酔夢譚
  [監督:佐藤純弥  主演:緒方拳  公開年:1992年]

  江戸時代末期の実話と当事者への聞き取りをまとめた旅行記を元にした映画。
映画事体の原作は井上靖が書いている。
  伊勢白子(現在の三重県鈴鹿市)の人間で物資を江戸に運ぶ仕事をしていた大
黒屋光太夫(緒方拳)は、乗っていた神昌丸が難破しアリューシャン(アレウト)
列島のアムトチカ島へ漂着する。やがて厳しい冬が来て、次々と仲間は死んで
いく。その後カムチャッカ半島からオホーツク、ヤクーツクを経由して、シベ
リア第一の都市であるイルクーツクまでたどり着く。
  彼らの望郷の念は絶ち難く、戻れるよう手段を尽くす。遂に、光太夫は自然
科学者のキリル・ラックスマンの力を借りて、ペテルスブルクでエカテリーナ
2世に謁見し帰国の許可を得ることができる。キリル・ラックスマンの子であ
るアダム・ラックスマンと共に、光太夫を含む3人の日本人達が軍艦エカテリ
ーナ号で日本に向かう。根室沖で日本上陸を待つ間に、1人(川谷拓三)は無念
にも病死。その後、一行は函館(当時は箱館)に向かうが、そこで光太夫ら2名
は海外渡航の禁を犯した罪人として幕府に引き渡されてしまう。
  これらの経過は、幕府によって幽閉された光太夫を訪ねた桂川甫周が聞き取
りを行い、「北槎聞略」としてまとめている。
  なお、上陸を待つ根室沖からの場面として砂浜が描かれているが、実際の根
室沖でロケが行われたかどうかは不明である。


1.9  海峡
  [監督:森谷司郎  主演:高倉健  公開年:1982年]

  青函トンネルを掘る一途な男の物語。舞台は津軽側であったが、一応JR北海
道管内ってことで…。 ^^;


1.10  家族
  [監督:山田洋次  主演:井川比佐志  公開年:1970年]

  長崎の小さな島の炭坑で働いていた主人公は生活が苦しくなり、知人を頼り
に中標津に移住し酪農を始めようとする。松竹作品。長崎から中標津までは列
車を乗り継いでの旅の描写がメインになっている。開陽台も登場する。
  主人公に井川比佐志(字がアヤシイ)、その妻に倍賞千恵子、父親に笠智衆。
彼らが2人の子供をつれての長旅になる。途中で乳幼児だった下の子を亡くし
たり、様々な思いをしながら中標津にたどり着く。主人公の父親は翌朝亡くな
ってしまうのだが…。
 最後に中標津駅に到着するシーンでは時計が0時?を指していており、「そん
な時間に標津線があったのか?」等と「旅と鉄道」で読んだ記憶がある。「家
族」の旅を検証するという特集記事で、映画のストーリーから当時の列車の旅
の事情や実際にはどの列車に乗っていたのかを推測する記事であった。


1.11  ガメラ2
  [監督:金子修介  主演:ガメラ :-)  公開年:1996年]

  前作の復活版「ガメラ」で、子供だけでなく大人の映画ファンにも評価が高
かった平成ガメラシリーズの第2作。「パトレイバー」(押井守監督)等の脚本
を担当している脚本家の伊藤和典、「新世紀エヴァンゲリオン」(庵野秀明監
督)等の演出コンテを担当している特技監督の樋口真嗣と共に、再度金子監督
がメガホンを取っている。
  物語の最初の舞台として支笏湖畔や札幌市街が使われている。また、すすき
のや地下鉄構内の詳細なミニチュアを使った特撮も見所であろう。
  この映画のLDからは、以下のような情報も得られる。
  ・助演:
      異星生物レギオン、草体(スター・シード)
  ・その他の出演:
      永島敏行、水野美紀、川津佑介、石橋保、吹越満、藤谷文子、沖田浩之、
      田口トモロヲ、蛍雪次郎、ラサール石井、ベンガル、小林昭二、前田亜
      紀、関谷亜矢子(NTV)、藪本雅子(NTV)、今中麻貴(STV)、水本豊(MMT)、
      福留功男
  ・ロケ地:
      札幌市青少年科学館、自衛隊真駒内駐屯地、札幌中心部(市電も出てい
      る)、市営地下鉄内部、地下鉄大通り駅、大通り公園、道庁付近、どこ
      かのビール工場、NTT北海道NOC、支笏湖近傍
  ・ミニチュアセット/スタジオセット:
      郡体レギオンが闊歩するのが「地下鉄すすきの駅構内」
      ガメラが踏み抜くのが「狸小路(の屋根)」
      草体が生えるのが「すすきののロビンソン(映画中ではバンデラス)」
      その他ガメラが壊すのが「すすきののビルの数々」


1.12  伽イ耶子のために(2字目は「人偏に耶」)
  [監督:小栗康平  主演:南果歩  公開年:1984年]

  デビュー作「泥の河」で各映画賞を受賞した小栗監督の第2作。1957〜58年
という時代を背景に、在日朝鮮人二世の青年と朝鮮人に拾われ育てられた日本
人少女との出会いと別れを描く。
  少女が住む町として函館の森町でロケが行われており、モノトーンに近い色
調が物悲しさを醸し出す作品である。


1.13  キッチン
  [監督:森田芳光  主演:川原亜矢子、松田ケイジ  公開年月日:1989年10月
    29日]

  函館を舞台にした作品との情報があるが詳細は不明。松竹作品。原作は吉本
ばなな。


1.14  飢餓海峡
  [監督:内田吐夢  主演:三國連太郎  公開年月日:1965年1月15日]

  水上勉原作の映画化。岩内の大火から洞爺丸沈没に絡んで、逃亡した犯人の
樽見(三國連太郎)とそれを追う函館署味坂刑事(伴淳三郎)による執念の追跡劇
を描く。また、高倉健が刑事役で登場している。東映作品。


1.15  来たことのある初めての道
  [監督:山川直人  主演:小林宏史、工藤礼美  公開年:1993年]

  「日本映画はつまらない」という意見に挑戦するために、WOWOW(日本衛星放
送)が制作を開始した短編映画集「J・MOVIE・WARSシリーズ」第1弾の内の一本。
自主映画出身で「ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け」等の劇場作品もある山
川監督が、冬の札幌を舞台に一組の男女の出会いと別れをファンタスティック
に描く。
  撮影と現像に特殊な処理を施した画面は少しざらついており、北の冬の寒さ
が感じられる。パンフレットによるとロケは「大通り公園」「澄川駅構内」
「石狩浜」「広島町」で行われ、1カットの長回しで準備半日、撮影半日とい
う大変な現場であったとのことである。


1.16  魚影の群れ
  [監督:相米慎二  主演:緒方拳  公開年月日:1983年10月29日]

  増毛の富田屋旅館が出てくるが、3階建で一見の価値がある建物である。緒
方拳が下を歩いている十朱幸代を見かけて、2階から降りてくるシーンがある。
松竹富士作品。


1.17  キリコの風景
  [監督:明石知幸  主演:杉本哲太、小林聡美  公開年:1998年]

  森田芳光監督作品の助監督やサブ監督作品のプロデューサーを経験している
明石監督の作品。脚本は師でもある森田監督が担当している。
  物語は函館空港に降り立った不思議な能力を持つ主人公が、別れた妻を探し
出そうとする様子を描く。いわゆる函館らしい風景はほとんど出てこず、バブ
ル期に建てられたらしいマンションが主な舞台になっている。ちょっと寂しげ
で無機質な函館が見られる佳作である。


1.18  羆嵐(くまあらし)
  [監督:降旗康男  主演:三國連太郎  公開年:1980年]

  留萌管内苫前町字三毛別(現在は苫前町字三渓別?)で実際に起こった事件を
元にしている。
  小さな集落に突然熊が襲い掛かり、女性ばかりが大きな被害に遭う。鬼鹿の
猟師(三國連太郎)が千松の山を越えて熊を仕留めに来るという物語で、苫前町
郷土資料館には展示が、三毛別には慰霊碑がある。後に千葉真一監督の「リメ
インズ」の元となった作品である。
  撮影時には付近の住民が随分エキストラとして出演していたそうである。


1.19  幸福の黄色いハンカチ
  [監督:山田洋次  主演:高倉健  公開年:1977年]

  アメリカの新聞小説の映画化である。花田欽也(武田鉄矢)がナンパでつかま
えた小川朱美(桃井かおり)とドライブしている所へ網走刑務所を出たばかりの
島勇作(高倉健)が加わり、島の妻光枝(倍賞千恵子)の待つ夕張へ向かう奇妙な
3人旅を描いた物語。ラストシーンは泣ける。;_;
  朱美はバイトで特急オホーツク?の車内販売をしている。欽也が旅を始める
のが釧路フェリーターミナル。彼の赤いファミリアのルートは、
    釧路→小清水原生花園→網走→ラーメン屋→海岸→美幌峠→阿寒湖畔温泉
    →北海道ちほく高原鉄道(ふるさと銀河鉄道)陸別駅(ルート的には足寄な
    のだが)→帯広→新得警察署→夕張
  話の筋からすると網走から夕張までのルートは斜里、中標津などの太平洋側
のルートが使われている。途中、朱美が運転を誤って突っ込んだ農家は帯広近
くであろう。
  出演者として今は亡き、たこ八郎、太宰久雄(安宿のたこ社長)、渥美清(ニ
ラレバ定食が好きな課長の渡辺)という顔ぶれが懐かしい。ちなみに太宰久雄
がおやじとして演ずる宿は単純泉か硫酸塩泉の安宿であるが、温泉のくせに10
時までとはどういう訳であろうか。くどいように言っていた。
  ラストシーンのセットは夕張に保存されており、黄色いハンカチがはためく
のを見ることができる。余談だが、撮影時はうまい具合にはためく風を待って、
随分風待ちをしたそうである。


1.20  四月物語
  [監督:岩井俊二  主演:松たか子  公開年:1998年]

  「Love Letter」「スワロウテイル」で日本映画界の旗手とも言われるよう
になった岩井監督の短編作品。大学新入生である主人公が故郷の町を離れ、東
京の武蔵野で過ごすようになる4月の新生活を、きれいな映像と音で描いた佳
作。特に大きな事件が起きる訳ではないが、岩井監督の「打ち上げ花火、下か
ら見るか? 横から見るか?」のような「ほのぼの系岩井映画」が好きな人に
はお勧めであろう。
  北海道のシーンとしては、物語の冒頭で主人公が故郷の家族(実際の松本一
家総出演!)に雪降る駅で見送られる場面がある。パンフレットによると旭川と
いう設定であるが、旭川駅ではなく郊外の小さな駅でロケが行われている。


1.21  ジャコ萬と鉄
  [監督:深作欣二  主演:丹波哲郎、高倉健  公開年月日:1964年2月8日]
 
  これも健さん映画の一つであるが、やくざ路線ではない。(近いものではあ
るが。) 積丹のニシン場を舞台に片目の無法者ジャコ萬(丹波哲郎)と、それに
立ち向かう網元の息子鉄(高倉健)の話。場所等は不明である。脚本は黒澤明。


1.22  地の涯に生きるもの
  [監督:久松静児  主演:森繁久弥、草笛光子  公開年月日:1960年10月16日]

  戸川幸夫の「オホーツク老人」を映画化したもの。羅臼、知床でロケ。この
ロケ中にあの「知床旅情」が生まれたのは有名である。羅臼のしおさい公園に
森繁さんの銅像が建っている。東宝作品。


1.23  流れ者図鑑
  [監督:平野勝之  主演:松梨智子、平野勝之  公開年:1998年]

  平野監督の「北海道自転車三部作」の第2弾。第1弾である「由美香」と異な
り劇場用オリジナル作品として制作されたものであるが、内容は前作同様、不
倫相手の女優と一緒に監督自身が北海道を自転車で放浪し感情をぶつけ合う様
子をビデオで撮影するという私映画の構成を取る。
  この作品の面白さは主演2人の愛憎ドキュメンタリーだけではない。北海道
を好きになり何度も旅した人なら会ったことがある「ちょっと変わった人々」
がいい。例えば「タフな女子大生」「家族を捨てた中年男」「ヒッピー気取り
の三人組」「犬と旅するおばさん」「ロシア人の顔が見たくて北限を目指すバ
イク野郎」「キャンプ場に住み着いた初老のカップル」等々という人達と主演
2人との交流も面白いのである。
  なお、三部作の完結編「白-THE WHITE-」は「冬の北海道を平野監督がただ
一人、自転車で旅する」という冒険紀行のセルフ・ドキュメンタリーである。
1998年12月1日に監督の故郷である浜松の砂丘から開始された撮影旅行は、暮
れの仙台における災難等を克服して、無事1999年3月12日午後12時43分に礼文
島スコトン岬でクランクアップしているとのことであり、1999年12月に予定さ
れているBOX東中野での公開が非常に楽しみである。


1.24  南極物語
  [監督:蔵原惟繕  主演:高倉健  公開年:1983年]

  実話を元にしたエスキモー犬のタロとジロの物語。戦後間もない南極観測の
黎明期、観測隊はエスキモー犬十数頭を民間から借り受けて南極へ連れて行っ
た。翌年の観測隊と交代するにあたって犬は引き続き使用することになり、隊
員達は犬を繋いで基地を去る。ところが、交代の隊は悪天候のため基地への到
達を断念し、犬は置き去りにされた…。
  飼い主に詫びる旅をする隊員(高倉健)が抜海駅を訪れている。飼い主役は荻
野目慶子であった。稚内公園もエスキモー犬の碑(実在のもの)の除幕式で登場
する。1985年3月には映画に出たタロとジロが稚内公園に繋がれていたのだが、
1998年12月にはいなかった。


1.25  遥かなる山の呼び声
  [監督:山田洋次  主演:高倉健  公開年:1980年]

  未亡人民子(倍賞智恵子)親子が営む酪農家に訳がありそうな謎の男、田島耕
作(高倉健)が現れて…というストーリー。「駅」に負けず劣らず名作の声が高
い。
  タイトルに「協力:中標津町の皆さん」とある通り、中標津町が主なロケ地。
広大な牧草地や草競馬(南中競馬場)、商店街を行列する夏祭りなどが登場する。
当時は丸五(中標津の地元スーパー)の屋上にカメラが据えられていたとか。上
武佐駅(廃止された標津線の駅)には逃亡中の耕作をかばう兄が人目を忍んで訪
れ、COROLLADOの紙袋に入ったコーヒーのドリップセットを一式渡し、標津線
で去っていく。ラストシーンは石北線車内。捕まった田島は網走刑務所に護送
の途中で、車内に「次は遠軽」の放送が流れる。遠軽から乗り込んできた民子
は…。他に雄武でもロケされている。


1.26  はるか、ノスタルジィ
  [監督:大林宣彦  主演:石田ひかり、勝野洋  公開年:1992年]

  「尾道三部作」で有名な大林監督が「転校生」「さびしんぼう」の原作者で
ある山中恒と再度コンビを組み、山中氏の故郷小樽を舞台に描く青春物語。物
語は勝野演じる中年の流行作家が、故郷の友人の死をきっかけに再訪した小樽
で石田演じるはるかという名前の少女と出会うことにより、封印した少年時代
の記憶を呼び覚ますというものである。初期の大林作品に比べ、少し大人びた
雰囲気がある。
  ロケ地としては、運河沿いの遊歩道や海猫屋という定番から、手宮線跡や汐
見台高校といったそれほど有名でない所まで使われている。


1.27  ひかりごけ
  [監督:熊井啓  主演:三國連太郎  公開年月日:1992年4月25日]

  船が難破して知床の番屋に漂着した船員達が、冬であったためにその場を動
けなくなる。船員達は次々に死んでいくが船長だけが生き残り、春に歩いて羅
臼にたどりつく。しかし、船長は亡くなった全員の「身体」を食べて生き延び
ていたという作品。実際のロケ場所は不明である。ヘラルド作品。


1.28  プ
  [監督:山崎幹夫  主演:佐藤浩一、緒川たまき  公開年:1994年]

  自主映画出身である山崎監督の長編劇場映画デビュー作。日本列島最北端の
架空の島を舞台とした寓話的でコミカルな冒険ファンタジー。物語は幻の先住
民族「プ」族の村を訪れた親子が、その村の開発計画に巻き込まれていく様子
を描いている。
  パンフレットによると、映画の撮影は1991年から一時の中断を経て1993年ま
で夕張周辺で行われたとのことである。


1.29  鉄道員(ぽっぽや)
  [監督:降旗康男  主演:高倉健  公開年:1999年]

  第117回直木賞に輝く浅田次郎の小説の映画化。6月に公開されたばかりの東
映作品である。
  北海道のローカル線、幌舞線の終着である幌舞駅。そこの駅長 佐藤乙松(高
倉健)の頑ななまでの鉄道マンとしての一生。廃線と定年を間近に控えた乙松
に訪れた真冬の奇跡。生後2ヶ月で死んだはずの一人娘ユッコ(雪子)が高校生
(広末涼子)として現れ、男の一生最後の悔いをやさしく慰めてくれる。そして、
その正月の朝、男は…。
  その死すら看取ってやれなかった妻の静枝には大竹しのぶ。男の友情に厚い
美寄中央駅駅長の杉浦仙次には小林稔侍。ロケ地となったのは根室線幾寅駅。
駅前には、映画で使われた床屋、だるま食堂、商店などのセットが保存されて
いる。


1.30  満月
  [監督:大森一樹  主演:時任三郎  公開年:1991年]

  ロケ地が札幌およびその近郊で、確か西校でも撮影が行われたと思われる。


1.31  優駿
  [監督:杉田成道  主演:斉藤由貴  公開年:1988年]

  日高の牧場を舞台にした作品。この映画は1987年日本ダービーの優勝シーン
を先に撮り、ダービー馬メリーナイス号に合わせて制作された。映画の中の馬
「オラシオン」に乗る根本騎手も、メリーナイス号に騎乗していた本物の騎手
である。
  ダービー馬になったメリーナイスは栗毛の四白流星で、似ている馬を探すの
に随分苦労したとのことである。複数の馬がオラシオンを演じていたようだが、
メリーナイスと同じにするために「馬にメイクをした」という有名なエピソー
ドもある。ちなみに四白流星とは「顔の中心に縦に白いラインが入っていて(=
流星)、四本の足元全てがソックスをはいたように白い(=四白)という状態」を
いう。メリーナイスは、1999年5月現在も浦河町の日高スタリオンステーショ
ンで元気である。
  なお、オラシオンを演じた複数の馬の中に「ダービー馬と同じメリーナイス
という名前の馬がいた」という情報もあったが、それは誤りと思われる。その
理由として、日本において過去5年以内に同名の馬名登録が存在した場合、あ
るいは過去に優秀な競走成績を残した馬が存在した場合に、競走馬は同名の名
前で登録ができないはずだからである。
  ただし、仔馬の頃のオラシオンを演じ、後に「マヤノオラシオン」という競
走名で中央競馬を走っていた馬はいたようである。確か、900万円程度のクラ
スの馬だったと思う。なお、マヤノオラシオンのその後の消息や他のオラシオ
ン役の馬の消息は不明である。


1.32  雪の断章・情熱
  [監督:相米慎二  主演:斉藤由貴  公開年月日:1985年12月21日]

  小樽が舞台の映画。斉藤由貴のデビュー作である。東宝作品。


1.33  由美香
  [監督:平野勝之  主演:林由美香、平野勝之  公開年:1997年]

  平野監督の「北海道自転車三部作」の第1弾。PFF(Pia Film Festival)での
入賞歴もある異色のAV監督が不倫相手のAV女優と行った、新宿→礼文島間の自
転車不倫野宿旅行の41日間1052kmのドキュメンタリー映画である。元はAVビデ
オとして制作されたとのことだが、あまりの面白さに劇場用作品として再編集
され一般映画館で公開された。
  8ミリビデオでお互いを撮影した映像や、途中で出会う旅人や地元の人との
交流を撮影した映像が、エンターテイメントな作品になってしまうのがすごい。
終着点の礼文島で示される衝撃のラストシーン :-) まで目の離せない作品で
ある。


1.34  Lie lie Lie
  [監督:中原俊  主演:豊川悦司、佐藤浩一、鈴木保奈美  公開年:1997年]

  「櫻の園」や「12人の優しい日本人」で知られる中原監督の6年ぶりの作品。
口八丁の詐欺師、寡黙な写植オペレータ、カッコいい女性編集者が組んで織り
成す嘘で固めた大勝負を描く。
  詐欺師役の豊川が以前逃亡していた場所が北海道という設定で、冬の然別湖
ネイチャーセンターでロケが行われている。パンフレットの撮影日誌によると、
撮影現場は朝一番には「きれい」と言っている余裕があるが、30分後にはスタ
ッフ一同「帰りたい」という状態になるほどの寒さであったとのことである。


1.35  Love Letter
  [監督:岩井俊二  主演:中山美穂  公開年:1995年]

  テレビ作品やミュージシャンのプロモーションビデオ等で注目を集めていた
岩井監督の劇場用長編デビュー作。3年前に死んだ恋人が中学時代に住んでい
た小樽の住所に、神戸に住む主人公の女性が戯れで手紙を送るが、なぜかその
手紙に返事が来たことから起こる物語を「岩井ワールド」と呼ばれる「切なく
懐かしい」映像で描いた傑作。
  一人二役の中山美穂、先輩役の豊川悦司、亡き恋人の少年時代役の柏原崇、
その少年に想いを寄せる主人公の少女時代役の酒井美紀らが、小樽の町でそれ
ぞれの役柄を演じる姿が素晴らしい。
  登場する図書館は多分、旧日本郵船株式会社小樽支店と思われる。薄暗い部
屋にある照明器具の形が特徴的である。


1.36  補足データ

(1) 本の紹介
・竹岡和田男著「映画の中の北海道」(道新出版)という本がある。地図付きで
はないようである。映画のロケ地を訪れたい人にはまたとない参考書だと思わ
れたが、残念なことに絶版になってしまった。ただし、1996年頃に絶版になっ
たようなので、まだ書店には在庫があるかもしれない。

・映像ではないが「散歩文学 名作の中の北海道」という本がある。

・「Zig Zag 道北編」(1992年7月24日発行)という本に「北海道の名作・傑作
の舞台 HOKKAIDO LOCATION GUIDE」というページがあり、「映画のロケ地」
「小説の舞台」「TVドラマ」に分けて簡単なデータが掲載されている。

(2) 酪農郷は山田映画の里
  1997年3月3日付の北海道新聞によると「中標津町では山田映画のロケ地にな
った以下の場所に、看板とスタンプを設置することにした」とのことである。
・旧中標津駅、開陽台                        …「家族」
・旧上武佐駅、南中競馬場                    …「遥かなる山の呼び声」
・藤や旅館(養老牛温泉)、旅館裏のイベント広場…「男はつらいよ  夜霧にむ
                                                せぶ寅次郎」


2.TVドラマ

2.1  北の国から
  
  北海道を舞台にしたドラマと言えば誰が何と言ってもこれでしょう。富良野
を一躍メジャーな観光地としてしまったドラマです。倉本聰脚本。富良野市麓
郷を中心に撮影されています。
  随分長い事経つなぁと考えてみると第1回放送から、かれこれ18年が過ぎて
います。現在ではメジャーなドラマとなってしまいましたが、当初はあまり評
判がよくなかったようです。本放送の終り頃から人気急上昇の様でした。
  本放送開始の頃の道内では、この番組を見て「ここまでなまってねぇべ」と
いう話があったようです。
  このドラマに関しては、色々な方々が色々な思いで見ていらっしゃるようで
す。否定的な評価を挙げてみますと、

・富良野プリンスホテルが番組を提供しているので、このホテルを夢の世界の
  ように奇麗に撮っている。
・富良野ばかりを奇麗に撮り、そのほかの所は極めてみすぼらしく撮る方針み
  たいだ。
・落石はみすぼらしく撮られているので、あれで観光客が来たなんてことは全
  くない。(宮沢りえが来れば落石も人気が出るだろう。)
・最初は面白かったが、最近は話の筋が現実離れし過ぎてつまらない。

と、長く続くドラマには付き物の評価もあるようです。
  さて、最新のスペシャル版ドラマと言いますと、1998年に放映された「北の
国から'98 時代」ですね。草太にいちゃんの突然の死や、蛍の妊娠、結婚には
驚きました。今後の蛍の生き方やストーリーの展開がどうなって行くのか非常
に楽しみです。


2.2  エトロフ遥かなり

  佐々木譲原作「エトロフ発緊急電」のTVドラマ化。沢口靖子がロシア人との
ハーフを演じています。
  択捉島単冠湾から真珠湾への攻撃に向かう日本軍の動きを、日系アメリカ人
のスパイが察知しアメリカへ打電します。根室、別海でロケをしています。舞
台となった駅逓の建物は、別海の奥行臼に現存する駅逓を使用したように見え
ます。


2.3  みにくいアヒルの子

  第1回目だけ北海道が舞台でした。岸谷五朗演じる平泉玩助先生が、常盤貴
子演じるまさこの東京行きを追いかけるシーンで、釧網本線の北浜あたりが使
われていました。舞台は女満別のはずだったんですがね。:p


2.4  ラッキー

  TMNの宇都宮隆が初出演したドラマです。相続がどうのこうのという内容で、
最終回に斉藤由貴が列車から降りるシーンに、石北本線の東雲駅が使われた覚
えがあります。


2.5  裸の大将

  滝上の芝桜と上湧別のチューリップを無理矢理つなげたような話があったな
あ。(^^;;;


2.6  北の家族

  函館が舞台です。第1回で便利屋である主人公の父親が、リヤカーを引きな
がら函館の坂を登っている場面があったので、多分ロケをしたのでしょう。


2.7  チョっちゃん

  何年か前のNHK朝の連続ドラマで、黒柳徹子さんのお母さんである黒柳朝さ
んをモデルにしたものです。滝川あたりの話で、ずーっと北海道が舞台でした。
  朝さんは滝川市の名誉市民にもなっており、西洋風建築の市民会館内に「チ
ョッちゃんアンティークコレクション」があります。朝さん本人から寄贈され
た西洋古美術品600点余りが展示されています。

・チョッちゃんアンティークコレクション
    住所    :滝川市文京町1丁目1番19号
    電話番号:(0125)-24-7710
    開館時間:10:00〜16:00
    休館日  :月曜
    入場料  :無料


2.8  昨日、悲別で

  上砂川町を悲別(かなしべつ)という架空の町に仕立て、そこを舞台にした話
です。主題歌が伊勢正三の「22歳の別れ」でした。
  現在は廃止された函館本線上砂川支線の終点である上砂川駅には、悲別駅の
看板が残っています。町中にもロケに使われた建物が残っています。


2.9  新十津川物語

  明治時代、鉄砲水で壊滅状態となった奈良県十津川村から、村人が新天地を
求めて現在の新十津川町に集団入植したという実話を元にした物語です。主人
公の「ふう」を若い時代は斉藤由貴が、おばさんになってからは倍賞美津子が
演じています。入植者のさきがけとして使役される囚人も登場し、林隆三が心
優しい囚人を演じています。
 場面は新十津川と滝川が多いのですが、現存の建物を使用したのではなく、
屋外セットが多かったようです。その当時の新十津川は石狩川沿いのうっそう
としたジャングルとして描かれており、今の風景からは想像もつきません。
 新十津川町には開拓記念館とドラマの資料館があります。また、奈良県の十
津川村には「ふう」の銅像が立っています。


2.10  逢いたい時にあなたはいない

  主演は中山美穂、相手役が大鶴義丹でした。撮影は札幌と東京を舞台に行わ
れていました。札幌の市電や街並み、メジャーなホワイトイルミネーション等、
盛り沢山に出てきます。
  どこのドラマでもありがちな「ホントに歩いたんか、お前らぁ」というシー
ンもあります。


2.11  星の金貨

  ノリピー主演。北海道が出てきますね、場面は少ないですが。


2.12  放浪(さすらい)

  10年ちょと前のドラマです。主演は菊池桃子でした。アイドルものには珍し
く、よくできていたという評価もあります。旭川、網走、紋別を巡って本当の
お母さんを探すような話でした。


2.13  氷点、続・氷点

  原作は三浦綾子です。舞台は最初(氷点)は苫前で、後半(続・氷点)が旭川で
す。苫前の大商店の家族と周囲の人たちの人間模様を描いたものです。
  家族が苫前から旭川に移る経緯は、「商店が使用人の借金の担保にされてし
まうのだが、当の使用人は行方不明。商店等の財産を処分して旭川に移り住む」
というものでした。札幌も登場します。
  1998年6月13日には、旭川に三浦綾子記念文学館が開館しました。「氷点」
の展示室や見本林もあるようです。

・三浦綾子記念文学館
    住所    :〒070-8007 旭川市神楽見本林
    電話番号:(0166)-69-2626


2.14  池中玄太80キロ

  西田敏行が主演で、彼の奥さんが亡くなった場面から物語が始まったと思い
ます。彼と残された3人の娘達との交流や、彼の仕事仲間であるカメラマン達
との交流を描いていました。
  確か西田敏行がタンチョウに魅せられていて、事あるごとにタンチョウの話
をするのです。このドラマのタンチョウの飛ぶシーンを見て、私は北海道に興
味を抱いた訳です。
  坂口良子と杉田かおるや子供達との色々な話が泣かせましたね。また、長門
裕之と西田敏行の大喧嘩が見物でした。西田敏行の「もしもピアノが弾けたな
ら」と、杉田かおるの「鳥の歌」(だったかな?)という2曲の歌が印象的でした。
  スペシャル版が以前放送され、その時は西田敏行と坂口良子が結婚するとい
う話であったと思います。


2.15  青い鳥

  柴田理森(豊川悦司)は町村かほり(夏川結衣)と彼女の娘、誌織(鈴木杏)を連
れて北へと逃避行しました。かほりの夫、綿貫広務(佐野史郎)が執拗に3人を
追い、北海道で追い詰めました。そしてかほりが海へ突き落とされるという忌
わしい事件が起きるのです。
  あの断崖絶壁から海へ落とされるシーンは何処だったのだろうか?


2.16  すずらん

  1999年6月現在、NHKで放送されている朝の連続ドラマです。幼い主人公、萌
(もえ)は「明日萌(あしもい)駅」に置き去りにされた捨て子。萌が駅長に育て
られ成長していく一代記です。この明日萌駅は、JR留萌線の恵比島駅を舞台と
して使っています。
  このドラマの撮影のためにわざわざSLを走らせるなんて、NHKだから出来る
事でしょうか?  このSLに関して、ML会員から以下のような情報がありました。

  標茶町の桜児童公園で展示されていたC11-171蒸気機関車が、再びJR留萌線
の深川−留萌間で1999年5月1日から走ります。NHK朝の連続テレビ小説「すず
らん」にちなんで「SLすずらん号」と名付けられ、1999年11月3日までの土・
日・祝日を中心に運転されます。(夏休みは毎日運行)
  運転スケジュールは以下のようになっています。

・深川→留萌
    深川発  恵比島着、恵比島発  留萌着
     11:43   12:18     12:34     13:16
・留萌→深川
    留萌発  恵比島着、恵比島発  深川着
     14:29   15:27     15:41     16:08

  詳しくは、
http://www.hjsd.co.jp/jrhokkaido/jrhryo/whats-new-2/suzuran/suzuran.html
を参照して下さい。


2.17  こいまち 第1回

  北海道帯広市を舞台に、夫と娘をもつ一人の女 藤崎晶子(清水美砂)と彼女
の高校時代の物理教師だった竹原亮介(世良公則)が再会し、繰り広げるドラマ
です。
  晶子と再会した竹原が、晶子と暮らすことは最高で最後の望みだとわかり、
妻と別れて晶子と暮らせるようになるまでの話だったと思います。


3.ミュージックビデオ

3.1  Puffy

  「たららん」のビデオは、北浜駅をはじめとして道東が舞台になっています。


3.2  チョ・ソンモ

  「不滅の愛」のビデオは、歌詞が韓国語で良く分からないのですが、主人公
と同僚は札幌の市電の職員という設定で、この二人と主人公の婚約者が三角関
係になってしまいます。そして、この同僚は体調の不調を覚えて発寒中央病院
で診察を受けるのですが、雪の上に血を吐いて死んでしまいます。そして、主
人公と婚約者も別れ…。
  と、いった劇的なドラマが札幌を舞台に繰り広げられます。


3.3  B'z

  ビデオ(タイトルは不明)に、あからさまに大通り公園から狸小路側に向かっ
て行く場面がありました。


3.4 ゆず

  「いつか」という曲のプロモーションビデオとCDジャケットに、美馬牛〜美
瑛の風景が使われています。CDジャケットの背景は美瑛の「絵本の木」だった
ように思います。
  実は、1998年12月27日に美馬牛駅でプロモーションビデオの撮影現場に遭遇
しました。最初は誰だかわかりませんでしたが…。美馬牛駅のホームで富良野
線の列車が来るのを煙草をくゆらせながら待ってる場面、列車の中で楽しそう
に話している場面、美瑛の駅を出る場面等を撮影していました。
  プロモーションビデオ自体は見ていないので、どの場面が使われているのか
はわかりませんが、音楽雑誌(雑誌名、号数は失念)には美馬牛駅の前での写真
等が載っていました。

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